日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[A] 防除(物理的・化学的・その他)

2024年3月30日(土) 09:00 〜 11:30 A会場 (橘)

11:00 〜 11:15

[A-33] ミカンキイロアザミウマの薬剤感受性検定手法の検討

◯宮下 裕司1、梶原 千椰1、松岡 基憲1 (1. 愛媛県農林水産研究所果樹研究センター)

愛媛県の‘愛媛果試第28号’(紅まどんな)の一部施設栽培園において、ミカンキイロアザミウマの着色期の被害が問題となっており、その原因として薬剤の感受性低下が疑われた。このため、本種の薬剤感受性検定を食餌浸漬法、葉片・虫体散布法および簡易検定手法により行った。その結果、いずれの検定手法でもスピノシン系殺虫剤は、感受性の把握が可能であり、今回供試した多くの個体群で感受性低下が確認された。クロルフェナピル及びフロメトキンは、食餌浸漬法では死亡率が低い傾向であったものの、葉片・虫体散布法及び簡易検定手法では高い死亡率であり、検定手法により結果に違いが認められた。現地事例から、後者の方が実態に近い評価であると考えられた。また、遅効的な薬剤であるIGR系殺虫剤及びジアミド系殺虫剤は、食餌浸漬法及び簡易検定手法では評価が困難であったが、葉片・虫体散布法では、7日間程度処理葉が健全な状態に保たれ、成虫処理後の次世代幼虫の発生状況も把握できることから、実態に近い評価が可能であると考えられた。以上の結果から、葉片・虫体散布法が多くの薬剤で実態に近い効果を評価でき、検定手法として適していると考えられた。