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[B-17] 日本産エンマムシ上科(昆虫綱鞘翅目)の分類学的再検討と雌交尾器形質に基づく系統構築
エンマムシ上科(昆虫綱鞘翅目)は、動物の死骸や腐敗した植物等の腐敗有機物に集まり、有機物中に生息する昆虫の幼虫等を捕食している甲虫類で、エンマムシダマシ科、エンマムシモドキ科、エンマムシ科の3科から構成され、各々、1種、1種、121種の123種が知られている。上科は、農業・林業害虫を捕食する天敵としても知られ、生物的防除でも利用されているが、上科の種分類および生活史等の基礎的情報や記載分類学的・系統学的情報の整備においても不十分な状況にある。本研究では、日本産エンマムシ上科の新たな記載分類学的・系統学的知見の情報の充実を目的とした。3科の成虫外部形態について、走査電子顕微鏡(SEM)画像を用いた詳細な形態観察を行うほか、先行研究ではあまり着目されていない口器や雌交尾器についての詳細な記載を行い、雌交尾器の形質状態を用いた系統解析を行った。その結果、外部形態および口器について、各科の区別に有用であると考えられる形質状態を新たに確認した。雌交尾器について多くの新形質および形質状態を確認し、先行研究による系統解析結果との比較から雌交尾器が系統解析の際に有用な形質状態をもつことを示した。