日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[B] 分類・形態・組織

2024年3月29日(金) 13:30 〜 18:00 B会場 (萩)

15:15 〜 15:30

[B-18] 朝鮮半島産エンマムシ科甲虫の分類学的再検討と日本産との比較

◯大原 昌宏1、安 基晶2 (1. 北海道大学・総合博物館、2. 韓国・忠南大学校)

朝鮮半島のエンマムシ科(鞘翅目)はHeyden (1887)の記録から始まり、現在までに77種(2未記載種を含む)が知られている。2010年代から Ohara & Ahnにより数本の論文が出され、また2019年にSeung & Leeが3本の論文をまとめたことから、半島の種構成がかなり把握されるようになった。日本のエンマムシ科については、現在126種(5未記載含)が知られ、大原(2022[2023])の昆虫目録が出版され、分布などの整理も行われた。本講演では、朝鮮半島のエンマムシ科の研究史と種構成を紹介する。また半島を北朝鮮、韓国、済州島に区分し、日本を北海道、本州、四国、九州、琉球に区分し、それぞれの共通種割合などの比較結果を報告する。半島と日本では55種の共通種がおり、半島の種の71%が日本にいることになる。北海道、本州、四国、九州、琉球では、それぞれ46, 62, 53, 62, 19%の割合が半島と共通であり、特に本州と九州に共通種が多かった。また特異な分布をもつ種や、分類上の問題をもつ種についても論ずる。