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[C-49] ルリアリのカートンへの破損行動 ―なぜ紙を齧るのか?―
カタアリ亜科のルリアリOchetellus glaberは人間の生活環境と生息範囲が重複し、家屋への侵入、食材の捕食、電気配線を齧るなどの被害を起こすことが報告されている。その特殊例として集団でティッシュペーパーを齧ることが多数報告されており、いくつかの製紙会社では対策を講じている。本研究ではその防除法開発の一環として、本種がなぜティッシュを含めたカートン類に対して破損行動を行うのか、その要因について検証を行った。飼育条件下でルリアリのケース内に様々な紙類を配置し、自動撮影で紙類に集まるワーカー数を記録、さらに紙類の破損の頻度と面積を画像解析で比較した。保湿ティッシュは破損頻度が高く、本種が保湿剤に誘引されたためと考えられた。しかし通常のティッシュでも破損頻度は高く、また類似した紙類、キッチンペーパーやキムワイプでも破損頻度は高かった。一方、半紙や新聞紙では破損はみられなかった。さらに行動観察から破損は直接の捕食や巣材への利用のためではないことも確認された。これら結果からルリアリは紙を自然界にある類似した餌、ハチの巣と誤認し、その捕食の過程として破損を行なっていることが示唆された。紙質の比較解析や追加検証からもこの誤認仮説は支持された。本発表ではこの防除方法についても言及する。