日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[E] 線虫・ダニ・クモ・脊椎動物

2024年3月30日(土) 09:00 〜 10:00 E会場 (小会議室1)

09:15 〜 09:30

[E-16] コウノアケハダニEotetranychus asiaticusの分類学的検討

◯後藤 哲雄1、Beard J. J.2、Beaulieu F.3、Knee W.3 (1. 流通経済大学、2. Queensland Museum、3. Agriculture & Agri-Food Canada)

コウノアケハダニEotetranychus asiaticus Ehara, 1966, は当初、E. sexmaculatus (Riley, 1890)として日本に分布することが報告された(Ehara, 1956)。その後、Ehara (1966)はこの種がE. sexmaculatusではなく、別種のE. asiaticusであるとして新種記載した。両種の違いは挿入器先端部の形態(下方に緩やかに曲がり、途中でちぎれたような先端で終わる)と周気管の形態(先端が曲がり膨らむ)が、カリフォルニア個体群と異なるためとした(挿入器は下方に緩やかに曲がり鋭尖、周気管には膨らみがない)。ところが、江原(1973)では再びE. asiaticusE. sexmaculatusの新参異名であるとしたものの、江原(1993、1996)、Ehara (1999)および江原・後藤(2009)ではE. asiaticusを復活させている。そのため、世界的にE. asiaticusE. sexmaculatusの分類が混乱した状態にあるので、今回、米国と豪州、ニュージーランド、中国、台湾、日本のサンプルについて、形態とmtDNAのCOI領域およびrDNAのITS2領域の塩基配列を詳細に検討し、2種の関係を再検討した。