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[E-17] 千葉県におけるアブラナ科寄生性シストセンチュウHeterodera cruciferaeの発生
令和5年5月に千葉県内アブラナ科野菜の作付後土壌から,国内未検出であるシストセンチュウHeterodera cruciferaeが検出された.本線虫は,海外においてキャベツやナタネなどのアブラナ科植物に寄生し、キャベツでは生育抑制を引き起こすことが報告されている(ChiZhov et al., 2009).しかし, 本線虫の県内における広がりや、国内栽培品目に対する被害は不明であるので,これらの調査を行った.その結果、県内複数の圃場において本線虫が検出されたが,生産者等からの聞き取りでは本線虫が原因と思われる被害は確認できなかった.接種試験では,シスト卵数93~181卵/100g乾土の汚染土壌50gを15㎝ポットに入れた約1Lの滅菌土壌に混ぜ込み,本葉5~6枚程度のキャベツ‘YR春空’の苗を移植し生育させたところ,移植2週間後には下葉の黄化,落葉が見られ,移植1か月後には一部の株において明瞭な生育抑制が見られた.このことから,アブラナ科作物を連作した圃場では,今後生育抑制等の被害が生じる懸念があり,引き続き調査が必要であると考えられた。