The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

Presentation information

Oral presentation

[F] Life history and distribution

Fri. Mar 29, 2024 1:30 PM - 4:30 PM Site F (Meeting Room 2)

4:15 PM - 4:30 PM

[F-12] ジンガサハムシの化性と休眠に対する発育時期の影響

◯Kengo NOMA1, Tomoyosi NISIMURA1 (1. Nihon Univ. )

ジンガサハムシの神奈川県藤沢個体群では,越冬成虫は春から初夏に繁殖し,その世代数は部分2化と推定されているが,1化と2化の違いをもたらす要因は分かっていない。その要因として発育時期に注目し,実験室で得た孵化直後の幼虫を2022年4~6月の様々な時期に野外で飼育した。幼虫は平均17.9日~35.2日間の発育後,蛹化し羽化した。成虫の平均体重は雌18.1 mg~19.8 mg,雄12.8 mg ~14.1mgで5月の孵化個体が最も重く生存率が高かった。4月と6月の孵化個体は繁殖せずに死亡する雌成虫が多かった。4月と6月の孵化個体の一部は夏に繁殖したが,5月の個体は全てが越冬し翌春に繁殖した。摂食を指標として休眠を見ると,4月と5月の孵化個体では8月に夏休眠が見られたが,6月の孵化個体では夏休眠はなかった。いずれも10月下旬には冬休眠に入った。このように化性や夏休眠の有無は発育時期の影響を受けた。以上のことから適した時期に発育した大きな成虫は夏休眠と冬休眠を経て越冬できる可能性が高いが,その前後の時期に発育した小さな成虫は越冬できる可能性が低く,そのために夏に繁殖する個体が現れると考えられた。