[PG01-07] 近畿地方におけるクビアカツヤカミキリの遺伝構造
クビアカツヤカミキリ(Aromia bungii)は、2012年に日本国内で侵入、定着が確認された外来害虫で、サクラ、モモ、ウメなどのバラ科樹木を加害し、枯死させる。国内におけるクビアカツヤカミキリの分布は拡大が続いており、特に近畿地方では2015年に大阪府内で本種の被害がみつかったのち、10年足らずで奈良県、和歌山県、兵庫県まで急速に分布が拡大している。このような近畿地方における急速な分布拡大が、単一の個体群から拡がったのか、複数回の侵入によって生じたのかを明らかにするため、大阪府、奈良県、和歌山県、兵庫県の本種被害地から200個体以上を採集し、ミトコンドリアDNA・CO1領域の一部(約600 bp)を解析した。近畿地方からは2つのハプロタイプが確認された。どちらのハプロタイプも広い地理的範囲で確認され、初期に被害が確認された地域で2つが混在して確認された地点があった。これらの結果から、単一の個体群から分布が拡大してきたと推定される。