[PG01-10] ワタアブラムシの3タイプ胎生雌虫におけるユリでの内的自然増加率について
ワタアブラムシはその高い増殖能力やウイルス媒介能力、薬剤抵抗性等により、被害が大きい害虫の一つである。我々は胎生雌虫について内的自然増加率(以下r)を調べた。試験に用いたクローンは1991年8月19日にユリ圃で採集後、一頭の胎生雌虫から確立した(飼育条件:20℃、16L8D)。その後、ソラマメ芽だし苗で、試験開始前にはユリ葉で60日以上飼育した。試験虫は20℃でユリ葉に産子した1齢幼虫を長日(16L8D)の各温度条件に入れた。 幼虫期は葉当り30頭以下で、羽化前に個体飼育とした。rは無翅胎生雌虫が産子した無翅胎生雌虫(以下PP)と有翅胎生雌虫が産子した無翅胎生雌虫(以下LP)、無翅胎生雌虫が産子した有翅胎生雌虫(以下PL)の3タイプに分けて算出した。その結果、各タイプのrは28℃まで温度が高くなるほど大きくなり、rが最大となる温度はPPが26.7℃、LPが27.5℃、PLが26.2℃と推測された。また、調査したすべての各温度において、PP の r が最大で、次いで LP、PLであった。このことからrは調査世代のモルフの違いだけでなく、親世代のモルフの影響も受けると示唆された。なお、16℃と12℃の各区では産子期間後半に雄虫を産子する個体が現れたが、PL区は他区に比べて少なかった。