[PG01-18] ゴマダラカミキリの寄主転換と行動・生活史戦略の変容
カミキリムシは樹木を幼虫の寄主とする種が大半であり草本利用は例外的とされる。しかしゴマダラカミキリは様々な科に及ぶ樹種に加え、草本であるイタドリ(タデ科)からも発生する。我々はこれまでイタドリ発生成虫の特性を木本であるプラタナスからの発生成虫と比較し、イタドリ利用による体サイズの小型化、視覚依存性の上昇などを明らかにし、さらにイタドリ利用による生活環短縮の可能性も示した。なおゴマダラカミキリは発生樹種の匂いを選好することが知られる。プラタナス発生個体はイタドリよりもプラタナスの匂いを好むが、イタドリ発生個体はイタドリ・プラナタス間で好みの差異は見られなかった。しかし今回、メスの産卵選好性を検討した結果、異なる様相が明らかになった。すなわちイタドリに対してプラタナス発生メス、イタドリ発生メスとも盛んに産卵した。このことなどから、群落が移動しつつも旺盛に繁殖するイタドリはむしろゴマダラカミキリにとって好適な寄主である可能性が考えられた(現在イタドリは欧米豪NZなどに侵入・繁茂し大問題となっている)。
この講演では、これまでの研究成果と新たに得た結果を踏まえ、ゴマダラカミキリのイタドリ利用の意義、寄主転換による生活史・配偶戦略の変容の意義について考察する。
この講演では、これまでの研究成果と新たに得た結果を踏まえ、ゴマダラカミキリのイタドリ利用の意義、寄主転換による生活史・配偶戦略の変容の意義について考察する。