日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PG01] ポスター発表(一般A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(一般) (桜)

[PG01-23] 越冬期におけるニホンミツバチの後腸細菌叢の特徴

◯鈴木 亮彦1、坂本 佳子1 (1. 国立環境研究所・生物多様性領域)

越冬期のミツバチは代謝熱により巣内温度を維持し,病原体に抵抗するために免疫機能を維持する必要がある.近年,越冬期にセイヨウミツバチ(Apis mellifera)の後腸細菌叢が変化すること報告され,後腸細菌がミツバチの冬の生存に重要な役割を果たしている可能性が示唆された.我々は産業養蜂種であるセイヨウミツバチと比べ,給餌や保護を受けずとも越冬を成功させるニホンミツバチ(A. cerana japonica)の後腸細菌が,同種の越冬により有益な機能を果たしていると考えた.この仮説を検証するために,本研究ではまずニホンミツバチの越冬期における後腸細菌叢の特徴を明らかにし,越冬に有益であると期待される後腸細菌を特定することを目指した.茨城県つくば市内のニホンミツバチ4コロニーを対象とし,2022年10月(越冬前),12月(越冬期)および2023年3月(越冬後)の各時期における後腸細菌叢を次世代シーケンサーで解析し比較した.その結果,越冬前と比べ越冬期において乳酸菌の一種とBifidobacterium属が増加しており,またこれら細菌属の配列の多くは両細菌属のいずれの基準株に対しても相同性が低かった.以上より,ニホンミツバチの越冬には新規候補種である2つの細菌属が重要であると示唆された.