[PG01-34] 青森県と岩手県における侵入害虫アワダチソウグンバイの分布状況と分布域推定
アワダチソウグンバイ(以下、グンバイ)は2000年に兵庫県西宮市で初めて確認されて以降、2019年時点で岩手県南部まで到達している。本研究では、分布の北限と考えられる岩手県内において、分布現況を調査すると同時に、植生および気象データに基づく分布域の推定を青森県と岩手県で行った。分布現況は2022年に岩手県内71地点のセイタカアワダチソウ群落から各5株を抽出し、グンバイの在否を調査した。岩手県内陸部では県北部まで生息が確認され、沿岸部では県中部まで確認された。分布域推定は、調査地点から半径2㎞以内の植生(落葉広葉樹林域と市街地)面積および1月の平均日最低気温を説明変数としたロジスティック回帰分析で行い、推定結果を電子地図化した。分布域推定モデルの精度評価は、2023年の岩手県および青森県内141地点での調査結果を用いて行った。盛岡以南の正答率は90%程度であった一方、盛岡以北での正答率・在的中率は低く、不在的中率は80%程度と高かった。これは、盛岡以北の地域で分布拡大・定着の過程にあることを示しているかもしれない。また、本研究では、青森県内でも八戸市を中心に生息が確認された。このことより、2023年時点で北海道を除く日本全国に定着していることが示された。