[PG01-56] テンサイシストセンチュウに抵抗性を示すトマト品種と関連遺伝子
テンサイシストセンチュウ(Heterodera schachtii、以下Hs)は2017年に国内で初めて、長野県で発生が確認されたアブラナ科及びヒユ科の作物の害虫である。現地ではくん蒸剤による緊急防除が実施されているが、その後の再発防止に向け輪作体系の構築が必要である。海外ではトマトがHs対策の輪作作物の1つとして利用されるが、アブラナ科ほどではないものの長野の個体群はトマトにも寄生・増殖する。しかしその程度に品種間差異があることが予備試験で判明した。そこで、他の線虫種に対する抵抗性に関与する2つの遺伝子の有無を異にするトマト品種について、Hsの寄生性を調査した。8つのトマト品種についてHsの幼虫を接種し、一定期間栽培後に根系に出現した雌成虫個体数を調べたところ、遺伝子の有無と個体数との間に明瞭な関係が見られた。つまり、両遺伝子とも持たない品種で個体数が多かったが、いずれか1つの遺伝子を持つ品種ではわずかであった。さらに、両遺伝子とも持つ品種では個体数が皆無で、Hsへの抵抗性が顕著であった。この種の試験・調査を効率化するために用いた機材「シート根箱」(Okada, 印刷中)についても紹介する。