[PG02-08] 在来植物上におけるヒメハナカメムシ類の種構成と発生量
ヒメハナカメムシ類はアザミウマ類などの土着天敵として天敵温存植物とともに利用されている。中山間地域においても害虫の密度抑制の中心的な役割を担っている。植物相の豊かな中山間地域における在来天敵温存植物によるヒメハナカメムシ類の保護強化的利用法の開発を目的として、各種在来植物のヒメハナカメムシ類の種構成と発生量の調査を行った。演者らは2023年8〜10月にかけて、広島県神石高原町の有機栽培農場と農研機構・西農研の圃場において、在来植物上のヒメハナカメムシ類の発生状況を調査し、得られたヒメハナカメムシ類についてマルチプレックスPCR法により種の同定を行った。その結果、神石高原町の有機圃場周辺の在来植物ではイヌタデ、オオケタデ及びツユクサでヒメハナカメムシ類の発生が見られたが、植物当たりの個体数は少なく、コヒメハナカメムシが主要種であった。一方、西農研の試験圃場でヒメハナカメムシ類の発生量は、園芸種(レッドクローバーなど、最大で0.4頭)より在来植物(特にタデ科の2種、最大で1.6頭)の花あたりでヒメハナカメムシ類が多かった。また、神石高原町でのヒメハナカメムシ類の種構成とは異なり、西農研の圃場では、ナミヒメハナカメムシが主要種であった。