[PS01-04] カブトムシの角における大きさと形状の相関選択
昆虫の武器形質には大きさと形状の連関がみられる。たとえば、カブトムシの角は長くなるほど相対的に細くなり、四叉上の先端構造は明瞭になる。このような変化は大きさと形状が闘争において相関選択を受けていることを示唆しているが実証例は少ない。そこでカブトムシ Trypoxylus dichotomus を対象に、角長(大きさ)に応じて変化する形状をランドマーク法を使って調べた。その結果、PC1として基部の幅、PC2として四叉構造の開き、PC3として四叉中央の溝の深さが幾何学的特徴として検出された。このうち基部の幅(PC1)と角長には有意な相関があった(r = -0.8283, p<0.001)。さらに、角長と体サイズにおけるアロメトリー係数のスイッチポイントは、基部の幅(PC1)と体サイズにおけるアロメトリー係数のスイッチポイントと類似していた。以上のことから、相関選択は角長と基部の幅にかかっていることが示唆された。基部の幅が角の長さに応じて変化することにより、闘争で角の損傷するリスクが低減されている可能性がある。