[PS01-17] 近縁な寄主植物に非対称な局所適応を示す植食性テントウ集団は寄主特異的な集団遺伝構造を示すのか?
植食性昆虫では寄主の違いが直接的に隔離障壁として作用する例が多く報告されている。これは異所的条件下では寄主利用能力に関する局所適応として検出される。アザミ類(Cirsium属)を寄主とするヤマトアザミテントウでは、これまでの研究より、東北地方において主にミネアザミ、キタカミアザミ、ナンブアザミのいずれかを寄主とすること、食性実験より異種アザミ利用集団間で非対称な局所適応が生じていることが明らかになっている。これらを踏まえ、本研究では、ミネアザミ、キタカミアザミ利用集団(各1集団)、ナンブアザミ利用集団(3集団)を対象としたSSRマーカー6座を用いた集団遺伝学的解析から、局所適応が隔離障壁として中立な遺伝子流動を阻害し、寄主特異的な集団遺伝構造が形成されているのかを検討した。本発表では、これまでの食性実験の結果とともに、Host associated differentiationの検出と遺伝子流動の推定結果を報告する。加えて、得られた一連の結果を統合し、異所的条件下での“隠蔽的な”生殖隔離の成立という観点から集団遺伝構造の成因を考察する。