日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(学生) (桜)

[PS01-25] 市民農園で採集された地表徘徊性甲虫類の生態

◯田中 則政1、渋谷 園実1、松下 範久1、福田 健二1 (1. 東大院・農)

地表徘徊性甲虫類(コウチュウ目オサムシ科)は生息地の環境変化に鋭敏であることから、既に環境指標生物として国内外でモニタリングの対象とされており、今後、温暖化の指標生物としての活用も期待される。温暖化の影響としての群集構造の変化や、各種の生態やフェノロジーの変化を検出するためには、同じ場所で年間を通じて高頻度に調査すること、各甲虫種の生態の変化を明らかにすることが重要である。そこで、発表者らは2021年11月からピットフォールトラップによる通年の定点調査を開始した。調査地は、特殊な環境でなく身近にある緑地として、千葉市の市民農園(無農薬耕作地)と、そこから約2 km離れたマンション敷地内の樹木が点在する空き地(定期的に草刈りを実施)に設定した。各調査地に大型のプラスチックカップ3個を設置し、耕作地では週1回、空き地ではほぼ毎日回収した。地表徘徊性甲虫類は、主に春と秋に活動が顕著化するが、夏季と冬季の活動もみるために年間を通じて調査した。解剖により、飛翔形質(後翅と飛翔筋)、食性、蔵卵時期、卵の数と大きさを調べた。幼虫は、COI遺伝子の塩基配列により種同定した。本発表では、市民農園で2023年12月までに捕獲された37種1,059頭の地表徘徊性甲虫類の生態を中心に報告する。