[PS01-28] 幼生生殖タマバエの野外における利用資源
ハエ目タマバエ科(Cecidomyiidae)には,幼虫または蛹が単為生殖で幼虫を産生する特異な繁殖様式(幼生生殖=Paedogenesis)を持つ菌食性の種群が知られている.この種群は幼生生殖タマバエと呼称され,国内外問わず,食用きのこの栽培施設などから報告されている.その一方で,野外での利用資源については海外からの断片的な情報があるのみで,生態的な知見はほとんどない.さらに,日本では野外に分布しているかさえ不明であった.そのような状況で,発表者らは幼生生殖タマバエを野外から発見し,日本に既知属の幼生生殖タマバエが分布することを確認した.これまでの分布調査や先行研究の中で,自然下では,葉質や木質のリターから得られることは経験的に知られているが,詳細な研究は行われていない.そこで本研究では,野外で幼生生殖タマバエが利用する餌資源を探索することを目的とし,餌資源を定量・定性的に調査した.結果として,幼生生殖タマバエは枯死木・落葉・土壌・多年生の多孔菌子実体・腐朽した竹材などから得られ,特に枯死木から最も得られた.本発表では資源ごとに優占する幼生生殖タマバエの特徴や,利用資源と分布の関係についても議論する.