日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS01-34] ナナフシ目昆虫の産卵行動にナラ枯れが及ぼす影響

◯佐々木 岳1、齋藤 朗子1、山脇 千雅1、尾崎 嘉信1、山下 多聞1 (1. 島根大・生資)

近年、日本各地でブナ科樹木萎凋病(通称:ナラ枯れ)が断続的に生じている。ブナ科樹木の集団枯損はブナ科樹木を食草とする植食者をはじめ森林生態系を構成する生物に大きな影響を与えていると考えられる。そこで、本研究では森林棲の植食性昆虫であるナナフシ目昆虫に着目し、ナラ枯れ前後における産卵行動の変化からナナフシ個体群にナラ枯れが及ぼした影響を考察する。調査地は島根大学三瓶演習林のコナラを中心とした落葉広葉樹二次林とし,2011年から2018年の8年間,リタートラップで回収されたナナフシ2種の卵数を計数した。その結果,産卵数はナラ枯れ被害のはじまった2013年から大幅な減少が見られた。ニホントビナナフシの産卵開始時期など産卵フェノロジーには年変動が認められたが、ヤスマツトビナナフシは安定しており環境変動の影響は小さいと考えられる。またナナフシの産卵数はナラ枯れに関係なく周期的に増減した。ナラ枯れのナナフシの産卵行動に及ぼす影響をより具体的に評価するため、調査地の気温とナナフシの餌資源であるブナ科の葉リター量のナラ枯れ前後の変化との関連も検討する。