[PS01-53] 飛翔性および腐肉食性昆虫のロードキルのホットスポットは道路灯下に存在する
乗り物による昆虫の轢死(ロードキル)は,その個体群に大きな悪影響を及ぼすと予想されるため,ロードキルが多く発生する場所(ホットスポット)を特定し,その要因を理解することは重要である.道路灯の前後35 mの車道上において,日没から3時間後に無脊椎動物を探索し,生体とロードキルされた死体の座標を48日間にわたり記録した.大型の無脊椎動物は4236個体が確認され,節足動物(3574個体)と環形動物(660個体)が大多数を占めた.節足動物の死体(3216個体)は52.9%がコウチュウ目,11.7%がバッタ目,6.2%がハサミムシ目であり,いずれも道路灯下に集中分布した.一方,環形動物は道路灯下に集中しなかった.移動様式や食性に注目すると,飛翔性昆虫が節足動物の死体の64.0%を占めた一方で,36.0%を占めた徘徊性昆虫の96.1%は腐肉を餌とするスカベンジャーであった.スカベンジャーの生体は轍上といった死体が多い地点で確認され,飛翔性昆虫よりも道路灯下への集中度は低かった.これらの結果は,昆虫のロードキルの局所的ホットスポットの1つが道路灯下であり,飛翔性昆虫が光に誘引されてロードキルされた後,それを餌とする徘徊性のスカベンジャーが二次的なロードキルに遭遇することを強く示唆している.