[PS01-55] ハダニのオスは一見無駄な多回交尾をなぜ行うのか
ハダニ類の受精には初回交尾で得た精子が利用され、再交尾はほぼ無効である。しかし、オスは既交尾メスに無意味なはずの求愛と再交尾をしつこく試みる。本発表ではカンザワハダニのオス側の視点からこの長年の謎に迫る。
まず、多回交尾がオスの「まちがい」である可能性を検証したが、オスは未交尾と既交尾のメスを明確に区別していた。誤認でないならば、未知の利益があるに違いない。そこで次に、オスが多回交尾を経験すると、その後未交尾メスとの初回交尾をめぐる競争で有利になると予測した。既交尾メスと多回交尾したオス、未交尾オスのどちらが先に未交尾メスと交尾したか/その際の求愛から交尾成立までの時間を比べたが両者間に差はなく、オスの多回交尾経験は未交尾メス獲得力を高めなかった。
カンザワハダニでは、既交尾メスと同居した幼若虫メスは、餌葉の劣化により成虫後の産卵数が著しく低下する。そこで第三の仮説「オスは多回交尾で既交尾メスを追いだし、次世代メスの適応度を上げる」を予想し、オスと同居した既交尾メスが、同居しない場合よりも早くパッチから分散することを確認した。パッチに残る次世代メスの適応度指標が高くなるかどうかも検証中であり、報告予定である。
まず、多回交尾がオスの「まちがい」である可能性を検証したが、オスは未交尾と既交尾のメスを明確に区別していた。誤認でないならば、未知の利益があるに違いない。そこで次に、オスが多回交尾を経験すると、その後未交尾メスとの初回交尾をめぐる競争で有利になると予測した。既交尾メスと多回交尾したオス、未交尾オスのどちらが先に未交尾メスと交尾したか/その際の求愛から交尾成立までの時間を比べたが両者間に差はなく、オスの多回交尾経験は未交尾メス獲得力を高めなかった。
カンザワハダニでは、既交尾メスと同居した幼若虫メスは、餌葉の劣化により成虫後の産卵数が著しく低下する。そこで第三の仮説「オスは多回交尾で既交尾メスを追いだし、次世代メスの適応度を上げる」を予想し、オスと同居した既交尾メスが、同居しない場合よりも早くパッチから分散することを確認した。パッチに残る次世代メスの適応度指標が高くなるかどうかも検証中であり、報告予定である。