[PS02-03] ネバダオオシロアリの雌雄差を生み出す分子機構に関するゲノムワイドな解析
ゲノムやトランスクリプトームなどのオミクスデータを活用し、昆虫が有する社会性の統合的な理解を目指すソシオゲノミクスが発展している。代表的な社会性昆虫であるシロアリでも、数種でゲノム配列が報告されているが、繫殖分業や不妊化を成立させるための機構は未解明である。この理解には、高品質のゲノム情報やカースト間の発現解析が必要である。本研究は、外来種として日本に移入したネバダオオシロアリのロングリードのゲノム配列を取得し、RNA-seqによるカースト間の発現解析を行い、本機構の解明を試みた。
本種の雄職蟻からロングリードシーケンスにより取得したゲノム配列 (scaffold; 546, scaffold N50; 5.9Mb) をリファレンスに、カースト、性および部位ごとにRNA-seq解析を行った。その結果、頭部は各カースト、胸腹部では各性で遺伝子の発現パターンが類似していた。これらの発現パターンは、先行研究のヤマトシロアリとは明確に異なっていた。これは、種間のカースト分化経路の違いに起因する可能性がある。さらに、発現に性差のある遺伝子には、性決定遺伝子である転写因子doublesexが含まれていたため、下流の標的遺伝子の探索により繁殖分業との関連を考察できると考えられる。
本種の雄職蟻からロングリードシーケンスにより取得したゲノム配列 (scaffold; 546, scaffold N50; 5.9Mb) をリファレンスに、カースト、性および部位ごとにRNA-seq解析を行った。その結果、頭部は各カースト、胸腹部では各性で遺伝子の発現パターンが類似していた。これらの発現パターンは、先行研究のヤマトシロアリとは明確に異なっていた。これは、種間のカースト分化経路の違いに起因する可能性がある。さらに、発現に性差のある遺伝子には、性決定遺伝子である転写因子doublesexが含まれていたため、下流の標的遺伝子の探索により繁殖分業との関連を考察できると考えられる。