[PS02-102] ナミハダニの分散は遺伝的多様性で変わるか?
個体群内での遺伝的多様性の低下は環境の変化への脆弱性や近交弱勢によって適応度の低下につながる。ハダニでは餌条件の悪化による分散や,天敵からの逃亡のための分散,雌成虫のセクハラ回避のための分散が知られているが,生物の分散には個体群の遺伝的多様性を高くする効果があるといわれており,遺伝的多様性の多寡が分散の要因となることも考えられる。農作物の重要害虫であるナミハダニTetranychus urticae Kochにおいても遺伝的多様性と分散との関係についての報告がいくつか存在している。しかし,遺伝的多様性を定量的に評価して分散との関係を示した例はなく,その関係性はいまだ不明な部分が多い。
本研究ではナミハダニ野外個体群の3系統を用いて遺伝的多様性を調節した実験個体群を作成し、遺伝的多様性と分散率との関係を解析した。遺伝的多様性の評価には,マイクロサテライトマーカー8遺伝子座によって求めた個体間の平均血縁度を用いた。得られた結果から,遺伝的多様性がナミハダニの分散に及ぼす影響について考察する。
本研究ではナミハダニ野外個体群の3系統を用いて遺伝的多様性を調節した実験個体群を作成し、遺伝的多様性と分散率との関係を解析した。遺伝的多様性の評価には,マイクロサテライトマーカー8遺伝子座によって求めた個体間の平均血縁度を用いた。得られた結果から,遺伝的多様性がナミハダニの分散に及ぼす影響について考察する。