[PS02-25] クビナガキバチ科昆虫3種の利用樹種と羽化・脱出パターン:穿孔部位をめぐる養菌性キクイムシとの関係も含めて
クビナガキバチ科昆虫 (以下、キバチ) は、広葉樹の衰弱・枯死木の辺材部を幼虫の餌とし、産卵時に共生菌も注入する。これらは、同じく辺材部を利用する養菌性キクイムシ (以下、キクイムシ) とその共生菌と競合関係にある可能性が高いが、詳細は不明である。その解明の端緒として、本研究では、キバチの利用樹種を特定し、羽化成虫の発生消長や脱出孔の直径(≒成虫の頭幅)および分布を調べ、同一木におけるキクイムシの発生消長や穿入(=脱出)孔の分布と照合した。
2021年7月と2022年6・7月に、愛知県北東部で6樹種を伐倒・放置し、翌年の4月に回収した。このうち、2023年5月にクビナガキバチとクロクビナガキバチ、2023年6~9月にヒゲジロクビナガキバチ (以下、ヒゲジロ) が、キバチ種ごとにすべて異なる樹種から発生した。ヒゲジロの発生木では、ハンノキキクイムシとサクキクイムシもそれぞれ5月と7月を中心に脱出した。ヒゲジロの脱出孔が集中した部位ではその直径が小さくなり、高密度下の種内競争で成虫が小型化したと考えられる。また、ヒゲジロの脱出孔はキクイムシの穿入孔が少ない部位に多く、競合を避けたことが示唆された。
2021年7月と2022年6・7月に、愛知県北東部で6樹種を伐倒・放置し、翌年の4月に回収した。このうち、2023年5月にクビナガキバチとクロクビナガキバチ、2023年6~9月にヒゲジロクビナガキバチ (以下、ヒゲジロ) が、キバチ種ごとにすべて異なる樹種から発生した。ヒゲジロの発生木では、ハンノキキクイムシとサクキクイムシもそれぞれ5月と7月を中心に脱出した。ヒゲジロの脱出孔が集中した部位ではその直径が小さくなり、高密度下の種内競争で成虫が小型化したと考えられる。また、ヒゲジロの脱出孔はキクイムシの穿入孔が少ない部位に多く、競合を避けたことが示唆された。