[PS02-31] シロイヌナズナにおけるハスモンヨトウの活性型糖エリシター受容機構モデル
植物は害虫に食害されると害虫の吐き戻し液(OS)に含まれるエリシターを感知することで防御応答を誘導する。これまで、ハスモンヨトウ幼虫のOSから分画された高分子画分(FrA)に含まれる糖エリシターがダイズおよびシロイヌナズナの細胞膜に局在する受容体様キナーゼ(RLK)である HAK1に応答することで寄主植物の防御応答が活性化されることが見出されている。本研究では、FrA内の高分子の糖鎖が植物体内で分解されることで活性型エリシターとなり、HAK1とその共受容体の複合体によって認識される仮説モデルを検証した。FrAをセルラーゼオノズカR10およびシロイヌナズナの粗抽出液で処理し、シロイヌナズナ葉における防御遺伝子発現誘導を評価したところ、酵素未処理FrAを処理した葉におけるその発現と比べて誘導された。さらに、FrA分解物をサイズ排除クロマトグラフィーによって分画したところ、FrAより低分子画分にその活性が認められた。AlphaScreenシステムおよびBiFC解析によってHAK1と相互作用する新規RLKが同定されたことで、このHAK1-RLK複合体における活性型FrAの認識・応答機構について議論する。