[PS02-57] ハスモンヨトウから分離した昆虫感染性微胞子虫の感染宿主域検索
ハスモンヨトウは広食性の農業害虫であり、化学農薬に対する薬剤抵抗性を持つ個体が多い。そこで、抵抗性を獲得しにくく、長期的に害虫防除できる微生物防除資材の開発が求められている。 微胞子虫はほぼ全ての動物から分離される単細胞真核生物である。また、微胞子虫は宿主特異性を持つ。昆虫感染性の微胞子虫は感染すると発育不良や寿命低下、経卵感染することで世代を通して感染するため、防除資材として活用すれば数年の効果が見込める。これらの特性から微胞子虫は害虫防除に有効であるといえる。 今回、ハスモンヨトウから分離した微胞子虫株(SlKT2201)を用いて、カイコ2齢幼虫30頭、当研究室で継代飼育しているハスモンヨトウの2齢幼虫、アワノメイガの3齢幼虫各々10頭に接種実験を行った。本研究では、3種の体長の差による感染性の違いや益虫と知られるカイコに感染性を示すかなど、感染宿主域の検索を行った。 その結果、ハスモンヨトウには10頭中9頭、アワノメイガは10頭中3頭の感染性を示した。また、ハスモンヨトウは幼虫期で全て死亡し、病徴が見られたが、アワノメイガは蛹期、成虫期の死亡個体から病徴が見られた。本研究の結果から、体長の差による感染性で生存日数や感染程度による違いがみられた。