[PS02-77] 東京都の天敵温存植物植栽ナス圃場におけるクモ類等の捕食者の消長と機能評価
露地ナス栽培で問題となるアザミウマ類に対しては土着天敵の保護・強化による管理が普及しつつあるが、都市近郊の圃場における実践例は少ない。そこで本研究では、ヒメハナカメムシ類およびクモ類に着目し、保護・強化法の確立と有効性の評価を行うこととした。東京都立川市の露地圃場でナス畝の外周に天敵温存植物(2022年はオクラ、マリーゴールド、ソバ、ゴマ、2023年は前2種)を植栽し、植物上のアザミウマ類と土着天敵の発生消長を調査した。ナスでは、ヒラズハナアザミウマがアザミウマの優占種であり、天敵温存植物植栽区では、無処理区よりもアザミウマ類の発生が少なかった。一方、ヒメハナカメムシ類およびクモ類は、天敵温存植物植栽区で無処理区よりも多く、ナス、天敵温存植物上ともにクモ類の優占種はハナグモとウロコアシナガグモの2種であった。このように複数種の捕食者が存在する状況下では、ギルド内捕食が害虫防除効果に影響する可能性がある。そこで、ハナグモがタイリクヒメハナカメムシ、ヒラズハナアザミウマと共存する実験系において、一定時間後に3種の生存状況を調査し、ギルド内捕食の程度と、露地ナスにおける土着天敵としてのクモ類の有用性を考察した。その結果についても報告する。