日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム2)

2024年3月30日(土) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS02-96] 飼料の粒径が食用昆虫タイワンエンマコオロギの成育に及ぼす影響

◯村田 光陽1、鈴木 丈詞1 (1. 農工大・BASE)

食用コオロギの養殖は,その環境学的,栄養学的および社会学的な背景から,東南アジアを中心に広がっている.通常,コオロギ養殖の餌として養鶏および養魚用の飼料が用いられているが,持続可能性の観点から,農作物や食品の副産物の利用が注目されている.しかし,コオロギ用飼料の設計はいまだ標準化されていない.そこで本研究では,栄養成分が同一で粒径が異なる飼料がタイワンエンマコオロギの成育に及ぼす影響を調査した.その結果,ミリメートルオーダーの粒径の飼料(顆粒飼料)を給餌した場合の幼虫・成虫体重,発育速度および羽化率は,マイクロメートルオーダーの粒径の飼料(粉末飼料)を給餌した場合と比較して有意に大きかった.本結果は,コオロギの大顎による把持および咀嚼には粉末飼料よりも顆粒飼料の方が適している可能性を示す.また,一般的に極小の粒径をもつ粒子は親水性が低いため,粉末飼料では消化が抑制された可能性もある.さらに,粉末飼料は粉塵になりやすく,気門閉塞等の生理障害や,病原微生物感染を引き起こした可能性もある.今後,農作物や食品の副産物をコオロギの飼料原料として利用する際,その顆粒化による養殖効率の向上が期待できる.