The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

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[W03] タバコカスミカメ利用を考える-先進導入事例から考える秘訣と課題ー

Fri. Mar 29, 2024 6:30 PM - 8:00 PM Site C (Shirakashi 1)

世話人:安部順一朗、中野亮平

6:30 PM - 6:50 PM

[W03-01] 静岡県の施設大玉トマトにおけるタバコカスミカメ利用を基幹としたIPM:これまでの歩みと今後の課題

◯Ryohei Nakano1, Chiharu Saito2, Yoshika Toda3, Yuta Kamogawa4, Hironaga Teramoto4 (1. Shizuoka Pref., 2. Shizuoka Pref. Seibu, 3. Shizuoka Pref. Chuen, 4. JA Enshu-Yumesaki)

静岡県のトマト生産現場では,主にタバココナジラミと本種が媒介する黄化葉巻病による安定生産上の脅威に晒されてきた.この状況の中,本県では2012年からタバコカスミカメによる生物的防除を主軸としたIPMの構築に取り組んできた.主な実証地は主要産地である中遠地域で,害虫被害が特に問題となる長期作型(8~7月、主に養液栽培)である.多くの現場に携わる中で,本技術を成功に導くためには次の要素が重要であると考える.まず,黄化葉巻病耐病性品種の利用は必須である.次に,農家・指導者ともに本種の基礎生態を十分に理解することも重要である.これには,本種と併用可能な選択性薬剤の情報も含まれる.最後に,現状では本技術は大玉トマト農家のすべてに有効な防除対策とは言い難く,どちらかと言えば害虫を多発させがちな農家こそ確実な効果を実感できる.したがって,指導者側は農家の状況を十分に見極めた上で導入を勧めることも重要であろう.本講演では,上記の点について実際の事例を交えて詳しく説明するとともに,残された課題についても研究的・普及的側面から議論したい.