第33回大阪府理学療法学術大会

Presentation information

Web Poster

[P-13] P-13

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-13 (webポスター会場)

座長:水野 稔基(大阪行岡医療大学)

[P-13-02] 大腿骨近位部骨折術後患者の早期身体機能向上とADL改善率が転帰先に与える影響について

*松尾 舞1、井上 健太1、山本 恵造1、小宗 英貴1、松田 茂1 (1. 千船病院)

【背景と目的】
大腿骨近位部骨折患者のリハビリテーション目標は、受傷前歩行能力の再獲得と受傷前居住地への早期退院である。急性期病院において、早期に退院調整を開始するために転帰先の予測をたてることが求められている。本研究では、身体機能・退院時FIMと転帰先の関連性の調査を行い、転帰先にはFIMのどの項目が関連しているのかについて検討した。
【方法】
当院にて大腿骨近位部骨折の人工骨頭置換術または観血的骨接合術を施行した35例を対象とした。各項目について受傷前居住地に退院した11例(以下、復帰群:男性3名、女性8名、平均年齢74.4歳)と戻れなかった24例(以下、転院群:男性6名、女性18名、平均年齢84.6歳)を2群に分け比較・検討を行った。調査項目は術後1日目、7日目安静時痛・荷重時痛(以下NRS)、股関節屈曲・伸展・外転可動域(以下ROM)、徒手筋力としては股関節屈曲・伸展・外転筋力(以下、MMT)、退院時FIMとした。統計学的処理は術後1日目、術後7日目安静時・荷重時NRS、ROM、MMT、退院時FIMについてMann-WhitneyのU検定を行った。次に2群間の比較にて有意差が認められた身体機能項目と退院時FIMの項目をスピアマンの順位相関分析を使用し関連性を比較検討した。
【結果】
2群間の比較にて、術後7日目股関節屈曲・伸展・外転MMTと退院時FIMの整容・清拭・更衣(上下)・トイレ動作・移乗・トイレ移乗・浴室移乗・移動・階段の項目で有意差が認められた。術後7日目股関節屈曲MMTと退院時FIMのトイレ動作・浴室移乗・移動・階段、術後7日目外転MMTと退院時FIMの階段の項目で有意な相関を認めた。
【結論】
結果より術後7日目股関節屈曲・外転MMTに退院時FIMとの相関が認められており、股関節筋力向上はADL拡大の上で関わりがあることが示唆された。また、転帰先要因の先行研究ではトイレ動作・移乗動作・階段昇降動作において有意差が認められていることが多く報告されている。本研究においても、自宅を含む受傷前居住地への退院にはトイレ動作・移乗動作・階段昇降動作の獲得が関与していることが示された。本研究の結果より、術後7日目股関節屈曲・外転MMTを参考にすることで早期に転帰先の予測がたてられて転院調整をスムーズに行なえる指標となる可能性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は後方視的調査であり、個人情報のデータは厳密に管理を行った。

Please log in with your participant account.
» Participant Log In