[PG-19-02] 両脚着地動作における筋疲労が衝撃緩衝能に及ぼす影響
【背景、目的】スポーツ場面において、ジャンプ着地動作は頻回に行われる動作であり、スポーツ損傷の頻度は高い。また、筋疲労はパフォーマンスを低下させ、スポーツ損傷の発生要因の1つであるとされている。近年、ジャンプ着地時の衝撃緩衝の指標として衝撃緩衝係数(LR:loading rate)が用いられているが、筋疲労による影響は不明である。本研究では、垂直ジャンプの両脚着地動作の衝撃緩衝と筋疲労との関係を明らかにすることを目的とした。【方法】対象者は、健常男子大学生6名(年齢21.6±1.2歳、身長173.5±9.73cm、体重64.8±11.34kg)とした。開始肢位は、両手を腰に当て、最大努力での垂直飛び動作を実施した。次に、疲労課題としてスクワットジャンプを行い、被験者には指定された時間、地面に手をついてから高くジャンプすることを繰り返すよう指示した。スクワットジャンプは1施行目から順に、60、50、40秒間として3施行実施し、各施行間には60秒間の休憩を設定した。筋疲労誘発プロトコル(疲労課題)実施後に再度、垂直飛び動作を実施した。計測には三次元動作解析装置MAC3D system(Motion Analysis社製)および床反力計(AMTI社製)を使用した。サンプリング周波数は赤外線カメラ200Hz、床反力計1000Hzとし、Helen Hayesマーカセットにて測定した。先に接地した脚を解析対象とし、床反力が10Nを超えた時点を接地(IC)と定義した。解析は、疲労前後での跳躍高、床反力の垂直分力のピーク値(Peak vGRF)、LR(ICからPeak vGRFが出現した時間で除した)、ICから股、膝関節最大屈曲、足関節最大背屈までの角度変化量を算出した。統計学的解析は対応のあるt検定とWilcoxonの符号付順位和検定を使用して筋疲労前後を比較した。有意水準は5%とした。【結果】跳躍高は筋疲労前で0.30±0.04m、筋疲労後は0.24±0.05mであり、有意に減少した(p<0.05)。Peak vGRFは筋疲労前で45.8±10.8N/kg、筋疲労後は33.1±4.6N/kgで有意に減少した(p<0.05)。LRは筋疲労前71.2±22.3N/BW/s、筋疲労後49.9±12.3N/BW/sで有意差は認められなかった。股、膝、足関節の角度変化量は筋疲労前で41.3±17.1°、48.5±17.1°、40.6±16.2°であり、筋疲労後で38.8±14.5°、60.5±27.8°、40.4±17.9°であった。筋疲労前後で各関節角度変化量に有意差を認めなかった。【結論】筋疲労によって、跳躍高とPeak vGRFは減少したが、LRと下肢関節角度の変化量に有意差が認められなかった。よって、筋疲労後も垂直ジャンプの両脚着地動作では、各関節運動により衝撃緩衝が行えていることが示唆された。【倫理的配慮、説明】ヘルシンキ宣言に則り、全ての対象者には事前に本研究の目的および方法、結果の取り扱い等について説明し同意を得た。
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