16:00 〜 17:30
[S02P-02] MEMS計測震度計を用いたモニタリングシステムの構築
前回、私達はアナログデバイセズ社の3軸MEMS加速度センサを内蔵した普及型計測震度計を開発し、千葉県内の高層建築物に設置して振動モニタリングを行っていることを報告した。
本報告では、防災科学技術研究所との共同研究「高層建築物の振動モニタリングシステムの構築」において、クラウド環境を用いたリアルタイム波形表示機能の開発とLTE通信における課題解決について報告する。
【地震動の観測】
開発した普及型計測震度計(以下、MEMS計測震度計)は、モバイル通信機能を内蔵することが可能であり、LTE通信でクラウドにデータ送信を行うことができる。そのため、MEMS計測震度計の設置は、電源が供給できれば場所を選ばず容易に設置して、地震動のモニタリングを開始することができるという特徴がある。私達は、千葉県内の高層建築物の高層階、低層階、地表面、地下にMEMS計測震度計を平成31年3月に設置し、これまでの1年6か月間に複数の地震動を観測した。
千葉県周辺では、5月の連休期間中の4日に千葉県北東部の地震(M5.6、深さ48km)、6日に千葉県北西部の地震(M5.0、深さ68km)に発生し、6月25日には千葉県東方沖の地震(M6.1、深さ36km)が発生している。千葉県北東部や千葉県東方沖の地震では、地表面の観測波形の卓越周期が高層建築物の1次固有周期に近いこともあり、高層階の観測波形には共振が見られた。しかし、千葉県北西部の深い地震では、地表面の観測波形の卓越周期が高層建築物の1次固有周期よりも短周期側であったため、高層建築物の観測波形には明瞭な共振は見られなかった。
【リアルタイム波形表示機能の開発】
MEMS計測震度計で観測された加速度波形データは、1分毎にwinフォーマットのファイルとしてクラウドサーバに送信されており、利用者はクラウドサーバからwin形式の波形データをダウンロードして、波形表示することができる。本開発では、利用者がWEBブラウザ経由でクラウドサーバにアクセスし、連続データのリアルタイムモニタリングやイベントデータをCSV形式等でダウンロードできるクラウド環境を構築した。イベントデータは過去の地震について選択表示することが可能である。
【LTE通信の課題解決】
1年6か月間の試験運用では、LTE通信における障害が多く発生した。現在、LTE通信はどこでも可能であるが、MEMS計測震度計は、高層建築物の地下階やEPS室内に設置されており、電波環境の良い環境下にあるとは言えない。そのため、一時的に通信が途切れた場合の再送処理をはじめ、バッファ機能の確保による長時間の基地局保守の対応、さらに通信レベルの最も良い基地局と必ず接続されるわけではないことに起因する障害への対応などを行い、より確実な通信環境を実現できるようにした。
本報告では、防災科学技術研究所との共同研究「高層建築物の振動モニタリングシステムの構築」において、クラウド環境を用いたリアルタイム波形表示機能の開発とLTE通信における課題解決について報告する。
【地震動の観測】
開発した普及型計測震度計(以下、MEMS計測震度計)は、モバイル通信機能を内蔵することが可能であり、LTE通信でクラウドにデータ送信を行うことができる。そのため、MEMS計測震度計の設置は、電源が供給できれば場所を選ばず容易に設置して、地震動のモニタリングを開始することができるという特徴がある。私達は、千葉県内の高層建築物の高層階、低層階、地表面、地下にMEMS計測震度計を平成31年3月に設置し、これまでの1年6か月間に複数の地震動を観測した。
千葉県周辺では、5月の連休期間中の4日に千葉県北東部の地震(M5.6、深さ48km)、6日に千葉県北西部の地震(M5.0、深さ68km)に発生し、6月25日には千葉県東方沖の地震(M6.1、深さ36km)が発生している。千葉県北東部や千葉県東方沖の地震では、地表面の観測波形の卓越周期が高層建築物の1次固有周期に近いこともあり、高層階の観測波形には共振が見られた。しかし、千葉県北西部の深い地震では、地表面の観測波形の卓越周期が高層建築物の1次固有周期よりも短周期側であったため、高層建築物の観測波形には明瞭な共振は見られなかった。
【リアルタイム波形表示機能の開発】
MEMS計測震度計で観測された加速度波形データは、1分毎にwinフォーマットのファイルとしてクラウドサーバに送信されており、利用者はクラウドサーバからwin形式の波形データをダウンロードして、波形表示することができる。本開発では、利用者がWEBブラウザ経由でクラウドサーバにアクセスし、連続データのリアルタイムモニタリングやイベントデータをCSV形式等でダウンロードできるクラウド環境を構築した。イベントデータは過去の地震について選択表示することが可能である。
【LTE通信の課題解決】
1年6か月間の試験運用では、LTE通信における障害が多く発生した。現在、LTE通信はどこでも可能であるが、MEMS計測震度計は、高層建築物の地下階やEPS室内に設置されており、電波環境の良い環境下にあるとは言えない。そのため、一時的に通信が途切れた場合の再送処理をはじめ、バッファ機能の確保による長時間の基地局保守の対応、さらに通信レベルの最も良い基地局と必ず接続されるわけではないことに起因する障害への対応などを行い、より確実な通信環境を実現できるようにした。