2:00 PM - 2:15 PM
[S03-11] A development of submarine geodetic monitoring system by calibration of the DONET pressure gauge network
南海トラフ地震発生帯では,海洋プレートの沈み込みより年間1cm程度の海底上下地殻変動が予想される.巨大地震発生帯における海底地殻変動を捉えることは,プレート間の固着強度分布,巨大地震の発生過程,およびその推移を理解する上で非常に重要な情報である.このような現象を高精度で捉えるために南海トラフに展開されている地震・津波観測監視システム(DONET: Dence Oceanfloor Network system for Earthquake and Tsunamis,Kaneda et al., 2015; Kawaguchi et al., 2015)に接続された水圧計により,長期的な変動を捉えることが期待されるが,それぞれの水圧計は年間最大10hPa(=10cm)の固有のドリフト持っており,地殻変動成分とドリフト成分を切り分けるためには水圧計の校正が必要である.そこで私たちは海底に設置している水圧計を校正し,水圧計に固有なドリフト成分を把握するための移動式水圧校正装置を開発してきた(Machida et al., 2019).移動式水圧校正装置は内部の水圧計の計測の不確かさの主要因である圧力ヒステリシス,温度特性,姿勢の影響を最小にするように設計されており,実験室においても海底においても1hPa(1cm相当)以下の精度で圧力を計測することができる.現場における校正時にはDONET水圧計との水準差を計測することができ,その水頭差を把握することでDONET水圧計に対して絶対圧力を値付けすることができる.海洋研究開発機構では移動式水圧校正装置の精度評価を行うため,DONET1, DONET2においてそれぞれ1観測点ずつ(KMB08, MRC10)の校正を繰り返し行ってきた.MRC10観測点においては2018年10月,2019年2月,2019年5月,2020年2月に校正を行った.その結果MRC10観測点の水圧計の機器的なドリフト成分は7.3hPa/yearとなり,2015年以降からの長期的な連続水圧データについて線形的に補正した結果,MRC10観測点では0.48hPa/year(速報値)の沈降を示した.また,2020年以降,観測域の拡大,および稠密化を目的としてDONET水圧計の校正観測点を順次拡大している.本講演ではこれまでのDONET水圧計の校正結果,および今後の展望について紹介を行う.
※DONETは構築終了後の2016年4月1日より海洋研究開発機構から防災科学技術研究所に移管され、陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS: Monitoring of Waves on Land and Seafloor)の一環として両者が連携して運用・保守を行っている。
※DONETは構築終了後の2016年4月1日より海洋研究開発機構から防災科学技術研究所に移管され、陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS: Monitoring of Waves on Land and Seafloor)の一環として両者が連携して運用・保守を行っている。