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[S06-01] 千島海溝南部アウターライズ震源断層マッピング
プレート境界浅部巨大地震発生後に海溝海側斜面(アウターライズ)の海洋プレート内で地震活動が活発化することは過去の観測事例から指摘されており、1933年昭和三陸地震や2007年千島海溝地震のように海洋プレート内でM8クラスの巨大正断層地震が発生した事例もある。本研究の対象領域である千島海溝南部では今後30年以内にプレート境界巨大地震(M7.8-8.5)が発生する確率は80%程度と見積もられているが、海溝海側の領域では過去の地震に関する情報がほとんどなく地震・津波の発生評価が行われていない。そこで我々はアウターライズ地震震源断層マッピンングとその情報に基づく津波評価に関するプロジェクトを開始した。震源断層マッピングに向けては、先行研究で作成した日本海溝アウターライズ断層マップと統合するため、先行研究と同様なデータ(詳細海底地形データ、地震探査データ、地震活動データ)、同様な基準に基づいて断層パラメータを決定する。これまでに詳細海底地形のコンパイル、及び根室―釧路沖において約20km間隔で設定された海溝に直交する4本の測線で反射法地震探査データを取得し処理を進めた。データ取得にはJAMSTEC深海調査研究船「かいれい」に搭載された大容量エアガン(5850-7800 cu. inch)・長大ストリーマーケーブル(チャンネル数444 ch., チャンネル間隔12.5m)を用いた。反射法探査の結果からは海洋地殻基盤を切る明瞭な正断層群が確認でき、それらの断層は海溝軸から約40km付近から顕著になる。また、ほぼすべての断層が南東傾斜(海側に傾斜)であり海洋地殻基盤はhalf-graben構造を形成している。先行研究の日本海溝アウターライズでは東・西落ち双方の傾斜を持つ断層からなる断層系が発達しhorst-graben構造を形成していた。この断層形態の違いは、海洋地殻生成時の断層が再活動している千島海溝と、プレートの折れ曲がりにより海溝付近で形成された新しい断層が活動している日本海溝での断層形成過程の違いに規定されている可能性がある。今後、釧路―襟裳沖で新たな地震探査データを取得し、日本海溝アウターライズ断層系との形態や活動の違いにも着目しながら、千島海溝南部アウターライズ断層の走向、傾斜、断層の落差・長さ等の断層パラメータを求めるとともに、アウターライズ断層の発生過程について考察していく。