[S16P-02] Autocorrelation function from ground motion records: detecting for shallow sedimentary layers
波形記録を用いて地下構造を調べる方法の一つとして, 地震波干渉法がある. 近年では, 自然地震の観測記録から計算した自己相関関数を地下構造の情報の抽出に用いる試みが行われている. 自己相関関数は地表1点の観測記録のみで計算可能であり, まずはパワースペクトルを計算し, それをフーリエ逆変換することで簡単に求められる. 得られた波形のシグナルは地下からの反射波を表し, 反射法探査におけるゼロオフセットの反射断面に等価である. 特に地震波速度のコントラストが顕著である地盤と基盤の境界面からの反射波は大きなシグナルとして表れるため, 地下構造のチューニングに用いられている. ここでより鮮明な反射波を得るためには, この自己相関関数に対して適切なスペクトルホワイトニング処理やフィルター処理を施す必要がある. 前者は元の波形記録に含まれる震源の効果(入射波の効果)を軽減して地下構造における伝播の効果を強調するために施され, 後者は機器等のノイズの影響を取り除くために用いられる. これら2つの処理に関わるパラメータは既知の地下構造を参考にしながら試行錯誤的に決定される. しかし地下構造が明白ではない複雑な地盤構造において, どの境界面からの反射波であるかを自己相関関数から判断するのは困難な場合がある. 特に, 自己相関関数の時間軸のゼロ秒におけるピークはフィルター処理による影響を受けて, ゼロ秒付近に表れると考えられる浅い地盤面からの反射波を隠してしまう. そこで本研究では, このような浅い地盤構造からの反射波をより鮮明に抽出することを目的として, 以下の自己相関関数の波形処理方法を提案する.
まず, パワースペクトルの対数をとり, その波形をあたかも時刻歴波形であるかのように取り扱う. この波形をフーリエ変換し, 低次の周波数部分をゼロに置き換えて再びフーリエ逆変換すると, 元のパワースペクトルは1に近づくため, 実質的にはスペクトルホワイトニング処理と同様の効果が得られる. そして, この見かけ上の時刻歴波形にフィルター処理を適用すると元のパワースペクトルでは, 対象とする周波数帯域以外が1に収束していくことになる. 以上の処理をしたパワースペクトルにフーリエ逆変換を行い計算された自己相関関数の波形は時間軸のゼロ秒付近がデルタ関数に近似される. これにより, 自己相関関数のゼロ秒付近におけるフィルター処理の影響を軽減できるため, 特に浅い地盤面からの反射波の特定の助けになると考えられる. 本発表では, 地下構造モデルから算定された理論波形や実際の観測記録に提案手法を適用する具体的な手順と計算例を示す.
まず, パワースペクトルの対数をとり, その波形をあたかも時刻歴波形であるかのように取り扱う. この波形をフーリエ変換し, 低次の周波数部分をゼロに置き換えて再びフーリエ逆変換すると, 元のパワースペクトルは1に近づくため, 実質的にはスペクトルホワイトニング処理と同様の効果が得られる. そして, この見かけ上の時刻歴波形にフィルター処理を適用すると元のパワースペクトルでは, 対象とする周波数帯域以外が1に収束していくことになる. 以上の処理をしたパワースペクトルにフーリエ逆変換を行い計算された自己相関関数の波形は時間軸のゼロ秒付近がデルタ関数に近似される. これにより, 自己相関関数のゼロ秒付近におけるフィルター処理の影響を軽減できるため, 特に浅い地盤面からの反射波の特定の助けになると考えられる. 本発表では, 地下構造モデルから算定された理論波形や実際の観測記録に提案手法を適用する具体的な手順と計算例を示す.