[S01P-03] Reproduction of seafloor seismic and pressure waveforms and calculation of sea-surface motions
海底地震観測網の充実、データ活用により、海底における震動特性が示されている(例えば、Nakamura et al., 2015; Kubo et al., 2018; Dhakal et al., 2021)。近年、浮体式原子力発電設備をはじめとする浮体構造物の開発が進められ、海底だけでなく海面における震動(海震)の特性の把握が、浮体の応答解析を進める上で必要となってきている。これまで我々は、propagator行列法(Haskell, 1953)に基づく、海面・海水・海底における海震波形の半解析解コードの開発を行い、計算例を示した(中村・竹中, 2021, 2022)。開発したコードについて、本研究では、応力成分も計算できるよう拡張し、海底における震動および水圧波形の計算を行った。加えて、海底におけるこれらの波形から、propagator行列を用いて、海面における震動波形の計算を行った。
海底における波形計算では、福島県沖で発生した中規模地震(M5程度)を対象とした。F-netメカニズム解による震源、メカニズム解を使用し、点震源を設定して計算した。また、点震源を複数設置し、断層震源を近似したケースでの計算も行った。観測点はS-net S2観測点を対象とし、水深100 m以上の海水層と、海底下に地盤および地殻の固体層から成る一次元地下構造を入力として使用した。計算の結果、周期1秒以下の帯域において、海底における水平および上下動加速度波形と、水圧波形を概ね再現することができた。これら海底における計算波形を用いて、平面波に基づく変位と応力に関する流体中におけるpropagator行列から、海面における上下動の震動波形を求めた。ここで、海面における境界条件から、海底の上下動波形のみから海面における上下動波形を求めることができそうであるが、上昇波と下降波の干渉により、周期によっては海面における波形振幅が発散する。そこで、周期に応じて圧力波形も用いることで発散を回避し、海面における上下動波形を求めた。計算の結果、海面においては、海底と同程度かやや大きい波形振幅となった。振幅がやや大きくなったのは、海面では入射角に関わらず反射係数が常に-1であり、入射波に対して海面での上下動振幅が倍になること、海水層が均質の低速度構造であり、層厚に対応した周期帯における共振によりP波が増幅していることが関係している。但し、今回の計算では、波長に対して海水層厚が薄いため、海水層による上下動波形振幅への影響は顕著ではなく、海水層がある場合とない場合で海底での振幅の差異は小さかった。
水平動のうちtransverse成分については、SH波が海水層を伝播しないため、海水層の存在により海面や海中においては振幅が0になる。これは、断層震源において、ディレクティビティなど波の建設的干渉が生じる場合、破壊伝播方向やすべりの方向、断層の傾斜角によっては、海底に対して海面や海中の水平動では、大きな減幅となることにつながる。地表だけでなく海底とも異なる海面での震動の特徴の把握は、海域における波動場を理解し、浮体構造物の挙動を評価する上で重要である。
海底における波形計算では、福島県沖で発生した中規模地震(M5程度)を対象とした。F-netメカニズム解による震源、メカニズム解を使用し、点震源を設定して計算した。また、点震源を複数設置し、断層震源を近似したケースでの計算も行った。観測点はS-net S2観測点を対象とし、水深100 m以上の海水層と、海底下に地盤および地殻の固体層から成る一次元地下構造を入力として使用した。計算の結果、周期1秒以下の帯域において、海底における水平および上下動加速度波形と、水圧波形を概ね再現することができた。これら海底における計算波形を用いて、平面波に基づく変位と応力に関する流体中におけるpropagator行列から、海面における上下動の震動波形を求めた。ここで、海面における境界条件から、海底の上下動波形のみから海面における上下動波形を求めることができそうであるが、上昇波と下降波の干渉により、周期によっては海面における波形振幅が発散する。そこで、周期に応じて圧力波形も用いることで発散を回避し、海面における上下動波形を求めた。計算の結果、海面においては、海底と同程度かやや大きい波形振幅となった。振幅がやや大きくなったのは、海面では入射角に関わらず反射係数が常に-1であり、入射波に対して海面での上下動振幅が倍になること、海水層が均質の低速度構造であり、層厚に対応した周期帯における共振によりP波が増幅していることが関係している。但し、今回の計算では、波長に対して海水層厚が薄いため、海水層による上下動波形振幅への影響は顕著ではなく、海水層がある場合とない場合で海底での振幅の差異は小さかった。
水平動のうちtransverse成分については、SH波が海水層を伝播しないため、海水層の存在により海面や海中においては振幅が0になる。これは、断層震源において、ディレクティビティなど波の建設的干渉が生じる場合、破壊伝播方向やすべりの方向、断層の傾斜角によっては、海底に対して海面や海中の水平動では、大きな減幅となることにつながる。地表だけでなく海底とも異なる海面での震動の特徴の把握は、海域における波動場を理解し、浮体構造物の挙動を評価する上で重要である。