The 2024 SSJ Fall Meeting

Presentation information

Poster session (Oct. 22nd)

Regular session » S01. Theory and analysis method

[S01P] PM-P

Tue. Oct 22, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S01P-07] Relationship between the assumed source time function and the receiver function in two-dimensional FDM simulations

*Yuto Ichibe1, Hironori Kawakata1, Shiro Hirano2 (1. Ritsumeikan university, 2. Hirosaki university)

レシーバ関数(RF)解析はS波速度構造を推定するために広く用いられてきた[Langston, 1979].入射角の小さい地震波の水平成分を垂直成分でデコンボリューションすることでRFを計算される.パワースペクトルで極端に値が小さくなる部分をスペクトルホールと呼び,垂直成分にスペクトルホールが存在すると周波数領域のデコンボリューションでは適切なRFが計算されないことが知られている.そこでスペクトルホールによる影響を軽減するテーパ処理の方法としてマルチテーパ法が提案されて いる[Park and Levin,2000].理想的にはデコンボリューションによって速度境界に対する入射波の特徴を除去し,RFとして速度境界からのPS変換波に相当するインパルス応答のみを抽出することができる.しかし, デコンボリューションを行う前にテーパ処理をすることにより,入射波の特徴が完全には除去できず,それによってRFに人工的なノイズが発生する可能性がある.Ichibe et al.(2024)は,境界最下部への入射波と伝達関数を仮定することで水平成分の地震波形を計算し,垂直成分の地震波形はインパルス応答に相当する入射波そのものとしてRF解析を行った.計算されたRFが伝達関数を再現するかを検証したところ,スペクトルホールを持つ入射波のRFには周期的なスパイク状のノイズが現れることが示された.一方,スペクトルホールのない入射波のRFでは,このようなノイズは現れなかった.周期的なスパイク状のノイズは入射波のスペクトルホールに応じた等しい時間間隔で連続的に発生しており,RFによる速度構造境界を不明瞭にする可能性を示した.本研究では,数値的にRF解析を実施する際に仮定する震源時間関数のスペクトルホールが計算されるRFに与える影響を明らかにするために,単純な2層の水平成層構造の2次元FDMシミュレーションを用いてRFを計算した.
 FDMシミュレーションでは,2層の水平成層構造とP波のみを放出する等方爆発震源を仮定した.震源は速度境界最下層よりも深く,かつ境界に対する入射角が十分小さくなる位置に設定した.また,層境界最下部への入射波に対応する震源時間関数を設定した.FDMシミュレーションにはOpenSWPC[Maeda et al.,2017]を用いて地表の観測点で合成波形を計算した.デコンボリューションにはマルチテーパ法[Park and Levin,2000]を用いて,RFを算出した.スペクトルホールを持つものと持たないものを含む数種類の震源時間関数に対して同様にRFを計算し,設定した震源時間関数ごとにRFを比較した.
 スペクトルホールを持つ震源時間関数を使用した場合,RFに周期的なスパイク状のノイズが現れるが,スペクトルホールのない震源時間関数を使用した場合,RFに周期的なスパイク状のノイズは現れなかった(図1).合成波形には直達波とPS変換波のほかに, 多重反射波と入射角が0°でないために生じるPS変換波の垂直成分へのエネルギー漏れが含まれていた.この影響によって,RFには多重反射波とPSのエネルギー漏れに対応するノイズも含まれていた.以上から,仮定した2層の水平成層構造とRFとの不整合は,PS変換波の垂直成分へのエネルギー漏れと多重反射に加えて,震源時間関数のスペクトルホールによって発生していることが明らかになった.速度構造を2層構造から多層構造に変化させた場合についても同様に周期的なスパイク状のノイズが軽減され,仮定した多層構造をRFがより正確に再現することが示された.