[S09P-09] Long-term fluctuations of b-value around the Noto Peninsula using the JMA earthquake catalog
b値変動は周辺の地殻応力場の変動を示していると理解され,地震予測への活用が期待されてきた.既往研究によれば2004年スマトラ島地震や2011年東北地方太平洋沖地震の発生に先立って震源域でb値が減少したとされる.しかしながら,解析領域が異なるとb値の変動するタイミングやその変動の具合が異なり,b値による地震予測は実用できるレベルには達していない.本研究では,地震発生とb値の時空間変化の関係を議論することを目的として,2007年にM6.9の地震,2020年12月からは群発地震活動が発生し,2024年1月にはM7.6の地震が発生した能登半島を対象にb値変動解析を行った.本研究では気象庁の震源データを利用した.解析期間はデータが十分存在する1991年から2024年中頃までの期間を対象とした.解析領域は2007年M6.9の地震が発生した能登半島南西部(領域1)と,群発地震活動が活発であった能登半島北東部(領域2),2024年M7.6の地震発生と共に拡大した地震発生領域(全体領域)であり,Mcを2.0に設定してb値の変動を求めた.解析結果を比較することで,群発地震と地震の地震活動にどんな差があるのかを確認した.本研究で求めたb値の経年変遷を見比べると,領域1ではM7.6の地震の発生前にb値が低下する変動が見られたが,領域2ではM7.6の地震の発生前にb値が上昇する変動が見られ,領域1と領域2のb値の変動パターンには逆相関が確認できた.また,M7.6の地震発生以降から2024年7月に至るまでの期間にも,領域1と領域2の間にb値変動の弱い逆相関が見られたが,期間が短いため今後も継続的な解析が必要である.しかしながら,これらの逆相関は領域1と領域2がM7.6の地震の前から関係していたことを示唆する.