[S09P-14] 海陸統合3次元地下構造モデルに基づく沖縄本島北西沖(沖縄トラフ下)で発生した地震のFAMT解析
本研究では2022年2月~6月に沖縄本島北西沖(沖縄トラフ下)で発生したMJMA5.5以上の10個の地震の観測波形データから,モーメントテンソル・インバージョンを行い,地震の位置,規模,震源メカニズムを推定した.
インバージョンには短周期実体波と表面波を含む長周期波形を解析するFirst-motion Augmented Moment Tensor (FAMT) (Okamoto et al., 2017, EPS)解析を用いた.グリーン関数の計算には陸上,海底地形を考慮できる3次元差分法の計算コードHOT-FDM (Nakamura et al., 2012, BSSA)を使用した.沖縄本島北西沖に南北方向,東西方向,鉛直方向に各2 km間隔でセントロイド震源の候補点を設定し,相反定理を用いてグリーン関数を計算した.計算には沖縄本島南東沖の地震の解析(小松・他,2023,地震2)で使用した海陸統合の3次元地下構造モデルを使用した.陸上地形は国土地理院の250 mメッシュ(標高)を,海底地形はJTOPO30を導入し,海水層を考慮した.モホ面は反射法探査の結果 (Nishizawa et al., 2019, EPSなど)をコンパイルした.これらの地震波速度や密度は公開されている広域モデル(たとえば,全国1次地下構造モデル)を参考に設定した.上部地殻より上の地盤はJ-SHIS深部地盤モデルを採用した.
本研究で使用したデータは防災科学技術研究所(NIED)が展開する広帯域地震観測網(F-net)の3観測点(AMM,KGM,ZMM),強震観測網(K-NET)の1観測点(OKN006),地震予知総合研究振興会(ADEP)が設置した3観測点(A.OKED,A.MYKO,A.TRMA)で観測された波形である(観測点分布は図1(a)).このうち,OKN006の波形は速度波形に積分し,すべての波形にバンドパスフィルタをかけて使用した.
解析した結果を図1(b)に示す.イベント番号は発生日時の順に付けた.本研究で求まった震源はこの地域に存在する海底活断層周辺の上部地殻内に位置し,気象庁一元化震源よりも浅い.メカニズムはいずれも北西-南東方向に伸張軸を持つ正断層型で,周辺の海底活断層(この地域では正断層)に概ね整合する.なお,発表ではさらに波形記録の再現性とグリーン関数計算に用いた地下構造モデルについても議論する予定である.
謝辞:本研究では,防災科学技術研究所のF-net,K-NET,地震予知総合研究振興会の波形記録,国土地理院の数値地図250mメッシュ(標高),JTOPO30,J-SHIS深部地盤モデルを使用しました.グリーン関数の計算は学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点の支援により(課題番号: jh240056),名古屋大学情報基盤センターの超並列スパコンFX1000を利用し,および東京大学地震研究所の共同利用における援助を受け(課題番号:2022-S-B102),同大情報基盤センターのシステム(Wisteria)を利用しました.
インバージョンには短周期実体波と表面波を含む長周期波形を解析するFirst-motion Augmented Moment Tensor (FAMT) (Okamoto et al., 2017, EPS)解析を用いた.グリーン関数の計算には陸上,海底地形を考慮できる3次元差分法の計算コードHOT-FDM (Nakamura et al., 2012, BSSA)を使用した.沖縄本島北西沖に南北方向,東西方向,鉛直方向に各2 km間隔でセントロイド震源の候補点を設定し,相反定理を用いてグリーン関数を計算した.計算には沖縄本島南東沖の地震の解析(小松・他,2023,地震2)で使用した海陸統合の3次元地下構造モデルを使用した.陸上地形は国土地理院の250 mメッシュ(標高)を,海底地形はJTOPO30を導入し,海水層を考慮した.モホ面は反射法探査の結果 (Nishizawa et al., 2019, EPSなど)をコンパイルした.これらの地震波速度や密度は公開されている広域モデル(たとえば,全国1次地下構造モデル)を参考に設定した.上部地殻より上の地盤はJ-SHIS深部地盤モデルを採用した.
本研究で使用したデータは防災科学技術研究所(NIED)が展開する広帯域地震観測網(F-net)の3観測点(AMM,KGM,ZMM),強震観測網(K-NET)の1観測点(OKN006),地震予知総合研究振興会(ADEP)が設置した3観測点(A.OKED,A.MYKO,A.TRMA)で観測された波形である(観測点分布は図1(a)).このうち,OKN006の波形は速度波形に積分し,すべての波形にバンドパスフィルタをかけて使用した.
解析した結果を図1(b)に示す.イベント番号は発生日時の順に付けた.本研究で求まった震源はこの地域に存在する海底活断層周辺の上部地殻内に位置し,気象庁一元化震源よりも浅い.メカニズムはいずれも北西-南東方向に伸張軸を持つ正断層型で,周辺の海底活断層(この地域では正断層)に概ね整合する.なお,発表ではさらに波形記録の再現性とグリーン関数計算に用いた地下構造モデルについても議論する予定である.
謝辞:本研究では,防災科学技術研究所のF-net,K-NET,地震予知総合研究振興会の波形記録,国土地理院の数値地図250mメッシュ(標高),JTOPO30,J-SHIS深部地盤モデルを使用しました.グリーン関数の計算は学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点の支援により(課題番号: jh240056),名古屋大学情報基盤センターの超並列スパコンFX1000を利用し,および東京大学地震研究所の共同利用における援助を受け(課題番号:2022-S-B102),同大情報基盤センターのシステム(Wisteria)を利用しました.