The 2024 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 22nd)

Regular session » S15. Strong ground motion and earthquake disaster

[S15P] PM-P

Tue. Oct 22, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S15P-03] Study on Empirical Green's Function Method Including the Subsequent wave for the April 11, 2011 Fukushima Hamadori Earthquake(Mj7.0)

*Hidetoshi Kasugai1, Yoshiaki Hisada2, Shinya Tanaka3 (1. Graduate School, Kogakuin University, 2. Prof., Kogakuin University, 3. Tokyo Electric Power Services Co.Ltd.)

1.はじめに
 近年我が国では膨大な地震観測記録の蓄積に伴い、表面波を含む後続の長周期地震動までを対象とした経験的グリーン関数法(以下、EGF法)の活用例が増えつつある。しかし、後続波を単純に合成して良いかは検討の余地が残されていると考える。著者らは2000年鳥取県西部地震を対象とし、EGF法を長周期の後続波に適用した結果、波形合成時の時間ずれの違いが後続波の強震動評価に大きく影響することを明らかにした1)。本研究では、後続の長周期地震動を含むEGF法を設計用入力地震動へ活用することを目的とし、2011年4月11日福島県浜通りの地震(Mj7.0)について、複数の余震を用いて後続波の再現性について検討を行った。

2.検討に用いる地震の諸元
 ここでは、芝・野口(2012) 2)のEGF法により構築された特性化震源モデル(以下、芝モデル)を用いる。図1に本震・余震位置、図2(a)に余震変更前の芝モデルを示す。芝モデルは、井戸沢断層と湯ノ岳断層の2つの断層面から構成され、2つの断層面が最深部で接触することで破壊が乗り移ると仮定されている。両断層の上端深さは2km程度であり、浅部のSMGAからは大きな表面波を励起すると考えられる。そこで、規模の大きい余震と深さが浅い余震を加えて検討を行った。図2に用いる余震の組み合わせ、表1に余震の詳細を示す。Case1では芝モデルと同じ余震を用いる。Case2では井戸沢断層に、Case3、4では、両断層に規模の大きい余震を割り当てる。なおCase4では、井戸沢断層に規模の大きく、かつ深さが浅い余震を割り当てる。

3.震源遠方の観測点における波形合成結果の比較
 図3に震源遠方の観測点におけるフーリエスペクトル比の平均値を示す。対象周波数は、余震記録における低周波数域のS/N比に基づき、Case1、2では0.4Hzを下限値とする。どの成分においても低周波数域ほど差が見られ、Case1では特に過小評価となっている。
 0.4~10 Hzを対象とした波形比較の例として、図4にTCGH12における結果を示す。Case1、2では後続波が過小評価であることに対し、Case3、4では明瞭に現れている。これは、両断層に用いた余震の規模と深さの違いによる表面波励起の違いによるものと考えられる。Case1では、震源周辺の主要動部を比較的良く再現できることが報告されている2)。しかし、震源遠方においては低周波数域のS/N比の観点から、0.4Hz以下の後続波を考慮するためには両断層にM5クラスを用いることが理想的であると考えられる。
 次に、0.1~10 Hzを対象とした波形比較の例として、図5、6にTCGH12とTCGH10における結果と、予測問題を想定し、SMGA1の破壊開始位置を図2(c)、(d)における★印から☆印に仮定した場合の結果を併せて示す。両観測点における後続波において、Case3では破壊開始位置変更後の振幅が大きくなっていることに対し、Case4では逆に小さくなっている。これは、SMGA1における要素波形の重なり合う時間がずれたことにより、Case3では6個の要素波形が同位相に、Case4では2個の要素波形が逆位相に重なり合ったものと考えられる。規模の大きさや深さに着目して余震を選択した場合、分割数の少なく、後続波の大きな要素波形の重ね合わせとなる場合がある。この場合、余震の卓越周期と波形合成方法における時間ずれによっては、後続波を過大にも過小にも評価する場合が考えられる。

4.まとめ
1)2011年福島県浜通りの地震(Mj7.0)を対象とし、芝・野口(2012) 2)による特性化震源モデルと、規模の大きい余震と深さが浅い余震を加えた4つのCaseでEGF法における後続波の再現性について検討を行った。
2)震源遠方においては余震記録の低周波数域におけるS/N比の観点から、2つの断層にM5クラスを用いた場合でないと後続波を十分に再現できない場合があることを示した。
3)規模の大きさや深さに着目して余震を選択した場合、分割数の少なく後続波の大きな要素波形の重ね合わせとなる場合がある。この場合、余震の卓越周期と波形合成方法における時間ずれの違いが後続波の評価に強く影響することを示した。予測問題においては、ばらつきの程度を考慮した評価がより重要になると言える。
なお、予測問題においては理想的な記録が十分でないという課題が残る。今後は理論的な手法と組み合わせた評価手法の検討を行う予定である。

謝辞
本研究では、防災科学技術研究所の強震観測網による観測波形を使用しています。また、一部図の作成においてはGMTを使用しています。

参考文献
1)春日井ほか(2023):16JEES, Day3-G403-25
2)芝・野口(2012):電力中央研究報告, 研究報告:N11054