[S15P-06] Autocorrelation function from ground motion records for high-resolution imaging of sedimentary structures by cepstrum
地震波干渉法は波形記録から地下構造を推定する手法の1つである. 近年では, 地表の１点の観測記録で計算できる自己相関関数から地盤構造の情報を抽出する試みがなされている. ここで自然地震記録の自己相関関数は物理探査におけるゼロオフセットの反射プロファイルと捉えることができる. この自己相関関数のシグナルには時間軸のゼロ秒における大きなピークに加えて, 地下構造内の多重反射によるシグナルも含まれている. そしてこれらのシグナルにはバンドパスフィルターによるサイドローブの影響も畳み込まれているため, 自己相関関数の波形をみて, 地下構造のどの境界からの反射波であるかを判断するのは困難である. そこで, 我々は特に地盤構造における反射波の特定を容易にすることを目的に, これらの影響を克服する方法を提案してきた（渡邉・竹中, 2023, 地震学会; 2024, JpGU; Watanabe and Takenaka, 2024, AOGS）. しかし, これらにはゴースト的な反射波が現れる可能性があった. 本研究では, この問題を完全に克服し, 対数スペクトルの逆フーリエ変換から得られるケプストラムを用いた新しい地盤構造推定法を以下に提案する.
提案手法では, 自己相関関数の時間軸が正の部分（因果的部分）を用いてケプストラムを計算する. Fig. 1は平面SH波の鉛直入射を仮定して, ２層地盤モデル（Fig. 1a）から計算した自己相関関数とケプストラムの比較（Fig. 1b）である. 波形には1.0～8.0 Hzのバンドパスフィルターを適用している. 提案手法によるケプストラムのシグナルは各層からの1回目の反射波（時間軸の0.2秒と2.14秒の負のシグナルにそれぞれ対応）がより明瞭である. 発表では, 他のモデルを用いた数値シミュレーションや実際の観測記録への適用の具体的な計算手順や計算例も示す.
提案手法では, 自己相関関数の時間軸が正の部分（因果的部分）を用いてケプストラムを計算する. Fig. 1は平面SH波の鉛直入射を仮定して, ２層地盤モデル（Fig. 1a）から計算した自己相関関数とケプストラムの比較（Fig. 1b）である. 波形には1.0～8.0 Hzのバンドパスフィルターを適用している. 提案手法によるケプストラムのシグナルは各層からの1回目の反射波（時間軸の0.2秒と2.14秒の負のシグナルにそれぞれ対応）がより明瞭である. 発表では, 他のモデルを用いた数値シミュレーションや実際の観測記録への適用の具体的な計算手順や計算例も示す.