The 2024 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 22nd)

Regular session » S15. Strong ground motion and earthquake disaster

[S15P] PM-P

Tue. Oct 22, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S15P-08] Borehole Investigation for Understanding the Seismic Nonlinear Behavior of Soft Soil Layers in the Nakagawa Lowland

*Takahiro MAEDA1, Hiromitsu Nakamura1, Hiroyuki Fujiwara1, Hisanori Matsuyama2, Nobuhiko Toyama2 (1. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, 2. OYO)

東京低地から中川低地にかけての地域は、大正関東地震の際に多くの住家被害が発生したことが知られており(諸井・武村、2002)、これらの地域で特に厚く堆積するやわらかい沖積層により地震動が増幅されたことが一因として考えられている(関口ほか、2014)。本研究では、地震時の軟弱地盤の非線形挙動特性を定量的に検討するための基礎データの取得を目的としてボーリング調査を行った。
既存の地盤構造モデルに基づき、工学的基盤や沖積層の分布、工学的基盤から地表までの増幅率の分布などを考慮して越谷市内に調査地点を選定した。調査地点は、中川低地の地下に北北西-南南東方向で伏在するS波速度が小さい地盤の層厚が厚い地域(埋没谷に相当)の中に位置する。地盤の非線形挙動を検討するためにオールコア掘進(掘進長42m)により観察用と年代測定用の試料を採取し、ボーリング孔を利用してPS検層と微動観測を実施した。また、コア観察に基づいて設定した沖積層の代表的な層相の3つの深度において、土質試験・動的変形特性試験用の不攪乱試料を採取した。
既往資料に基づく調査地点周辺の地質状況と合わせて、ボーリングコアの観察から堆積環境・堆積機構の変化を読み取った。調査地点付近の沖積層は、下位から陸成の網状ないし蛇行河川システム、エスチュアリーシステム(河口近傍の堆積物)を経て最大海氾濫面を挟んでデルタ(三角州)システムへと移行するとされている。コアの下部から上部への堆積相の主な変化は、30.7m~38.2mにエスチュアリーシステムの海進期の堆積物が見られ、この層の上面が最大海氾濫面に対応(約6,900年前)すると考えられる。22.5m~30.7mにはデルタシステムの堆積相(プロデルタ堆積物)に対応するほぼ塊状のシルト層が堆積しており、12.9m~22.5mにはデルタシステムのデルタフロント堆積物に対応する砂とシルトの細互層が見られる。4.0m~12.9mと1.2m~4.0mには、現世河川堆積物のそれぞれチャネル砂層と氾濫原泥相が認められる。
サスペンションPS検層(孔中起振-孔中受振)による弾性波速度が変化する境界は、P波、S波共に、おおむね堆積相区分に合致している。これは、堆積相が粒度変化の傾向に基づく地質区分であり、固結していない堆積物においては粒度構成(粘土・シルト・砂・礫等)と含水比が物性値を決める主な要因であることによる。デルタシステムの地層ではS波速度は110~160m/s示し、かなり軟質である。周辺のボーリング孔で実施された標準貫入試験では、この層のN値は0~2程度である。調査地点近傍の標準貫入試験を実施している既往ボーリング孔との堆積相の対比からみて、S波速度とN値の深度方向の分布傾向は、おおむね対応している。
地表、深さ14m、深さ40mで微動観測を行い、H/V比の特徴を調べた。3つの深度におけるH/V比はいずれも周期5秒付近にピークを有しており、工学的基盤以深の深い速度構造による増幅に対応するものと考えられる。地表と深さ14mでは周期1秒付近に同程度の振幅を持つピークが見られる。このピークは深さ40mには見られず、深度40mから14mの間のデルタシステムの軟質な粘性土層(前述)に起因するものと考えられる。地表では他の深度では認められない周期0.2秒のピークが見られ、これは深度14m以浅の砂質なデルタフロント堆積物による寄与と考えられる。3つの深度(7.9~8.9m、15.0~15.9m、25.0~25.9m)において不攪乱試料(砂質土1つ、粘性土2つ)を採取し、室内土質試験により地盤振動解析に必要な非線形特性パラメータ(G/G0-γ曲線など)を求め、これらを総合して調査地点付近の1次元地盤モデルを作成した。
今後、今回作成した調査地点付近の1次元モデルに基づいて地震時の地盤の非線形挙動の確認を行うとともに、中川低地、東京低地などに広く分布する軟弱地盤の影響を評価するために、3次元地盤構造モデルを構築し、これを用いて実施可能な地震動計算とその手法についての検討も合わせて行う必要がある。また、調査地点付近では定常的な強震観測がなされておらず、最近傍の地震計は越谷市役所地点である。今後、地震時の地盤の非線形挙動を実証的に評価するためには調査地点付近についての実際の地震動データを得ることも必要である。
謝辞:ボーリング調査では越谷市に大変お世話になりました。