The 2024 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 21st)

Late-Breaking Session » S23. The 2024 Hyuga-nada Earthquake and its Effects

[S23P] PM-P

Mon. Oct 21, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S23P-16] Large-scale activity of very low-frequency earthquakes following the 2024 Hyuganada earthquake

*Naoki SUDA1 (1. Earth and Planetary Systems Science Program, Graduate School of Advanced Science and Engineering, Hiroshima University)

2024年8月8日に発生した日向灘地震(M7.1)の震源域に近い浅部プレート境界には浅部超低周波地震(SVLFE)の活発な発生域があることが知られている(e.g. Asano et al. 2015)。この領域で今回の地震に続いてSVLFEの活動が活発化したことが防災科学技術研究所によりアレイ解析法(Asano et al. 2008)とテンプレート相関法(Asano et al. 2015)を用いて発生から数日後に示された。本研究ではこれまでに開発したバンドパス波形に対する相関法を用いて活動の詳細を明らかにしたので報告する。

一般に相関法では2観測点の波形から求めた相互相関係数の最大値を与える時間差を走時差データとして扱う。しかし狭帯域の波形では真の走時差に対して卓越周期の整数倍のずれが生じてしまうcycle skippingがしばしば起こる。また表面波の放射パターンにより2観測点で波形の極性が逆の場合もある。本研究の相関法では相互相関係数の極大値を与える複数の時間差を扱い,理論的な走時差との差を評価することでこれらの問題を克服している。使用したデータは紀伊半島・中四国・九州の27観測点からのF-net広帯域地震計記録の上下動成分で,20-50秒のバンドパスフィルターをかけてサンプリング間隔を1秒とした。解析は長さ300秒の解析区間を150秒ずつずらして連続的におこなった。理論走時差は波の見かけ速度を3.8 km/secとして計算した。求められた震央はブートストラップ法による標準誤差が7.5 km以下のものを結果として採用した。

活動期間は8月9日~16日と21日~29日の二つに分かれており,検出数はそれぞれ約800と約360であった。前半の活動では,震央は地磁気異常から推定される大規模な海山の沈み込むフロントを縁取るように分布していた。活動は南西‐北東ラインで見たとき南西から開始して北東方向に足摺岬南方まで伝播した。これらの特徴は2010, 2015, 2023年に発生した大規模な活動と同様である。ただし活動開始から活動域の北東端に到達するのに要した時間は,これまでの大規模活動では20-30日であったのに対し,今回はわずか4日であった。これは活動の拡大速度が速かったわけではなく,活動が広範囲で同時に開始したことによる。また活動度は1日スケールでは最後の16日を除くとほぼ一定であった。後半の活動は前半に比べて不活発で,前半とは逆に活動は北東から開始して南西方向に伝播した。25日にはそれまでの活動域とは離れた種子島南東沖で活動が見られた。その後台風10号が活動域に最接近した29日0時の前後数時間に活動域の南西部で最後の活発な活動が見られた。

大規模なSVLFE活動は背景で発生しているスロースリップイベントのすべり域拡大を表している(Asano et al. 2015)。遠方の観測点でも信号が明瞭に捉えられるSVLFEのモニタリングは,プレート境界浅部における「通常と異なるゆっくりすべり」の監視手段として有効である。

謝辞:本研究ではF-netの記録を利用しました。防災科学技術研究所の関係各位に感謝します。