The 2024 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 21st)

Late-Breaking Session » S23. The 2024 Hyuga-nada Earthquake and its Effects

[S23P] PM-P

Mon. Oct 21, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S23P-21] Human risk assessments considering the Nankai Trough Earthquake Extra Information

*Hiromitsu NAKAMURA1, Yoshinori TOKIZANE2, Hiroyuki FUJIWARA1 (1. NIED, 2. OYO)

8月8日に発生した日向灘の地震の発生により、南海トラフ地震の想定震源域では、新たな⼤規模地震の発⽣可能性が平常時と⽐べ相対的に⾼まっているとされ、初めて南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が呼びかけられ、防災対応として、日頃からの備えを再確認し、必要に応じて自主的に避難すること等が求められた。
南海トラフ沿いで発生する地震には、地震規模や震源域の広がり、地震サイクルを構成する地震の発生回数に多様性があると評価されており、防災対応のあり方を考える際にはこれらの多様性を踏まえた検討が必要であり、今回の事象もその一例と考えることができる。南海トラフ沿いで発生する地震を対象としたリスク評価としては、中央防災会議をはじめとした国や地方公共団体による被害想定があるが、これらは日向灘から駿河湾にかけての南海トラフ全体を震源域とした最大規模の、いわゆる「全割れケース」を対象としたリスク評価となっている場合が多い。南海トラフ沿いで発生する地震の多様性を踏まえるためには、全割れケースを含む様々な地震の発生形態を考慮したリスク評価が必要である。
多様性のある南海トラフ沿いで発生する地震のうち紀伊半島沖を境界とするM8クラスの東西2つの震源域が時間差を伴って破壊する地震は「半割れケース」と呼ばれ、昭和や安政など過去の発生事例も知られていることから特に注目されている。例えば先行する半割れケースが発生した場合には気象庁より南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表され、臨時情報に伴う防災対応ガイドラインも策定されている。
そこで、本研究では多様性のある南海トラフ沿いで発生する地震の中から、過去の発生事例を含め、臨時情報や防災対応ガイドラインが策定されている半割れケースの複数パターンを、モデルとして抽出して、防災対応ガイドライン等を踏まえた巨大地震警戒の呼びかけに伴う事前避難等による人口分布の変動も考慮して、半割れケース発生後の地震および津波による人的リスクを試算した。なお、本研究における地震発生可能性の長期評価をベースとしたリスク解析の枠組みでは、巨大地震注意という情報を踏まえても、リスク試算結果には影響がない。今後、今回の日向灘の地震に伴い巨大地震注意が発せされたように、一時的にその後の大規模な地震の発生する確率が普段より数倍程度高まるというような状況下での、短期的な時間依存性を考慮したリスク評価手法の構築が、臨時情報を活用した防災対応を検討する上で重要と考える。
謝辞:本研究は文部科学省「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」の一環として行われた。