日本地質学会第129年学術大会

講演情報

セッション口頭発表

T14.[トピック]大地と人間活動を楽しみながら学ぶジオパーク

[2oral101-10] T14.[トピック]大地と人間活動を楽しみながら学ぶジオパーク

2022年9月5日(月) 09:30 〜 12:00 口頭第1会場 (14号館501教室)

座長:天野 一男(東京大学空間情報科学研究センター)、松原 典孝(兵庫県立大学 大学院 地域資源マネジメント研究科)

10:30 〜 10:45

[T14-O-5] GEO✕アクティビティプロジェクト ~ジオパークがつなぐ地域の和~

*藤原 勇樹1、山陰海岸ジオパーク 推進協議会 (1. 山陰海岸ジオパーク推進協議会)

キーワード:山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク、サイエンスコミュニケーション、持続可能な開発

山陰海岸ユネスコ世界ジオパークは,京都府(京丹後市),兵庫県(豊岡市,香美町,新温泉町),鳥取県(岩美町,鳥取市)の3府県(6市町)から構成され,「日本海の形成」をテーマにしたジオパークである.山陰海岸ジオパークエリア内には,日本海の形成に伴う大地の営みの歴史が,岩石や地層として残されており,沿岸部ではそれら地質的背景から形成された海浜や海食地形などを活用し,海水浴や遊覧船といった観光が盛んである.さらに,近年のコロナ禍においては,比較的個人客の多く,野外で密を避けられるシーカヤックやスタンドアップパドル(SUP),シュノーケリングといったアクティビティの人気が高まってきている(松原ほか,2021).またそれらに伴いアクティビティ事業者から、シーカヤック等の技術だけでなく、海岸地形(洞門や洞窟など)の形成メカニズムや、海中や岸壁に見られる動植物を解説したいなどのガイドのニーズも高まりつつある(金山・太田,2022).
このような背景から山陰海岸ジオパークでは,推進協議会をはじめとする行政,地域の大学や博物館,アクティビティ事業者やガイドが連携し,「GEO✕アクティビティプロジェクト」と題した事業を展開している.この事業では,シーカヤック上からガイドするための素材や資料をまとめた“アクティビティガイドのためのテキスト”を作成し,アクティビティ事業者やガイドを対象とした座学と現地講習を実施している.アクティビティガイドの顧客を楽しませる視点と,地形・地質や生物などの専門家の学術的知識を掛け合わせることにより,アクティビティ体験を通して大地(ジオ)とその上に広がる動植物や自然(エコ),私たちの生活・文化・歴史を楽しみながら学ぶことにつながることが期待される.


松原ほか(2021)コロナ禍のジオツーリズム~フィールドの強み:山陰海岸ジオパークの例~.JpGU2021 講演要旨.
金山・太田(2022)鳥取県,浦富海岸のガイド資料集作成過程での科学的知識の共有.地形,43-1,41-54.