日本地質学会第130年学術大会

講演情報

セッション口頭発表

T14[トピック]原子力と地質科学

[1oral301-11] T14[トピック]原子力と地質科学

2023年9月17日(日) 09:00 〜 12:15 口頭第3会場 (4共30:吉田南4号館)

座長:竹内 真司(日本大学)、吉田 英一(名古屋大学)、梅田 浩司(弘前大学)

09:30 〜 09:45

[T14-O-2] 文献調査段階の評価の考え方(案)(最終処分法で定められた要件に照らした評価及び技術的観点からの検討)

【ハイライト講演】

*兵藤 英明1、新井 慶将1、浅森 浩一1、別宮 功1、海江田 洋平1、小松 哲也1、松本 孟紘1、尾上 博則1、大津 正士1、三枝 博光1、高林 佑灯1、髙畑 祐美1、田中  等1 (1. 原子力発電環境整備機構)

世話人よりハイライトの紹介:高レベル放射性廃棄物の地層処分場の選定における最初の段階である文献調査のうち,最終処分法に定められた要件に照らした評価及び技術的観点からの検討の考え方について,報告・議論を行う.高レベル放射性廃棄物の処分は社会的に重要な課題であり,地質科学が多いに貢献すべき分野である.※ハイライトとは

キーワード:文献調査、最終処分法で定められた要件、技術的観点からの検討、評価の考え方、避ける場所

原子力発電環境整備機構(以下、NUMO)は2020年11月から、北海道寿都町及び神恵内村の文献調査を実施している。総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会 放射性廃棄物ワーキンググループ(以下、廃棄物WG)において、今回の文献調査の取りまとめに向け、特に技術的/専門的な事項については、透明性あるプロセスの中で、丁寧に評価していくことの重要性・必要性が示され、2017年に公表された「科学的特性マップ」の策定時にその具体的要件・基準等について審議した、同小委員会下の地層処分技術WG(以下、技術WG)において、NUMOが整理する「文献調査段階の評価の考え方(案)」について、技術的/専門的な観点から議論・評価を行うこととなった。
特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(以下、最終処分法)(及びその施行規則)は、文献調査を実施し次段階の概要調査地区を選定するための要件を定めている。また、原子力規制委員会は2022年8月に特定放射性廃棄物の最終処分における概要調査地区等の選定時に安全確保上少なくとも考慮されるべき事項(以下、「考慮事項」)を公表している。
NUMOは文献調査において、(1)最終処分法に定められた要件に照らした評価、(2)技術的観点からの検討及び(3)経済社会的観点からの検討を実施することとしている。このうち、(1)及び(2)について、最終処分法、「考慮事項」及び「科学的特性マップ」策定時の考え方のうち事象や特性の基本的考え方などに基づいて、NUMOは「文献調査段階の評価の考え方」(案)を策定し、技術WGの第21回~24回会合(2022.11~2023.4)に提示しご議論いただいた。(3)についてもNUMOが考え方(案)を廃棄物WGに提示しご議論いただいた。
最終処分法に定められた要件に照らした評価については、「断層等」、「マグマの貫入と噴出」といった項目ごとに避ける場所の基準を設定するとともに、基準への該当性の確認の仕方を策定した。最終処分法に定められた要件には当たらないが「考慮事項」が要請している「地熱資源」についても同様の基準と確認の仕方を策定した。
このような項目ごとの基準と、技術的観点からの検討の考え方の概要は表1のとおりである。表1は提示した案についてのご議論を基に修正を加え、了承されたものである。
本発表においては、表1に示した内容や確認の仕方、基準策定に当たっての考え方などを説明する予定である。

表1:最終処分法に定められた要件に対応する項目などの基準及び技術的観点からの検討の考え方の概要