第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

脳のMRI

脳のMRI

2014年9月19日(金) 10:12 〜 11:12 ポスター会場 (5F 通路)

座長:渡邉嘉之(大阪大学大学院医学研究科 放射線医学講座)

[P-2-166] もやもや病及びその亜型・類縁疾患の評価:Silenz MRAと3D-TOF-MRAの比較

水木健一1, 増井孝之1, 片山元之1, 佐藤公彦1, 塚本慶1, 林真帆1, 三好光晴2, 松永奈美2, 椛沢宏之2, 阪原晴海3 (1.聖隷浜松病院 放射線科, 2.GEヘルスケア・ジャパン, 3.浜松医科大学 放射線医学講座)

【目的】頭蓋内動脈の評価に非侵襲的検査として3D-TOF-MRAが広く用いられている.Silenz MRAはArterial spin labelingを用いたMRAである.今回はもやもや病及びその亜型・類縁疾患の患者群でSilenz MRAと3D-TOF-MRAでの比較を行った.【方法】2013年10月から2014年5月にもやもや病及びその亜型・類縁疾患の経過観察で3D-TOF-MRA,Silenz MRAを施行した12例(M:F=5:7,average 38歳)を対象とした.撮像装置は750w 3T(GEHC).撮像条件はSilenz MRA(TR/TE 1114.4/0.016-0.02; ETL 1; matrix size 150×150; FOV 18 cm; slice厚 1.2 mm; slice枚数 300; flip angle 5°),3D-TOF-MRA(TR/TE 21/2.4-2.5; ETL 1; matrix size 320×192; FOV 20 cm; slice厚 1.2 mm; slice枚数 140-224; flip angle 18°).Silenz MRAのPost labeling delay(PLD)のparameterは初期のfixされたものを用いた.評価方法:各症例をもやもや病の重症度をMRAでscore化するHoukin's grading systemを使用して3D-TOF-MRA及びSilenz MRAで評価した。元画像,MPVR像の任断面にて評価した.また中硬膜動脈(MMA),浅側頭動脈(STA)の描出を視覚的にfive point scaleで評価した(1悪~5良).【結果】Houkin’s grading systemの評価では1例を除き3D-TOF-MRAとSilenz MRAでのscoreは一致した。中硬膜動脈・浅側頭動脈の視覚評価の平均はSilenz MRAではMMAで右が3.42点,左が3.17点,STAで右が4.75点,左が4.33点, 3D-TOF-MRAではMMAで,右が4点,左が3.58点,STAで右が5点,左が5点であった.【考察】Houkin’s grading systemでのscoreが一致しなかった症例についてはDSA所見と比較するとSilenz MRAの方がTOF-MRAよりも再現性が高かった.MMA・STAの描出に関しては3D-TOF-MRA>Silenz MRAであった.原因としてはS/NがTOF MRA>Silenz MRAであることやSilenz MRAがASLの原理に基づいているため,血管の遠位側の信号が低下している可能性が考えられた.後者に関してはPLDを最適化することで,今後改善する可能性が考えられた.【結論】もやもや病及びその亜型・類縁疾患の評価においてSilenz MRAは3D-TOF-MRAとほぼ同等の結果を示したが,今後更にPost labeling delay timeを最適化する必要があるかもしれない.