2023年度全国大会(第58回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[87]-[93]

2023年11月12日(日) 09:00 〜 11:30 第II会場 (A棟 G29教室)

司会:畠山 雄豪(東北工業大学)、尹 莊植(横浜国立大学)、松川 寿也(長岡技術科学大学)、杉田 早苗(東京工業大学)

10:50 〜 11:10

[92] 農村集落における区域区分制度を前提とした土地利用調整手法の実態と活用可能性に関する研究

-茨城県桜川市を事例として

○西島 優1、関本 崇志2、有田 智一3 (1. 近鉄不動産株式会社、2. 桜川市役所、3. 筑波大学システム情報系)

キーワード:土地利用調整手法、地区計画制度、開発許可、区域区分、市街化調整区域

本研究は、地区計画と市独自条例である土地利用基本条例を組み合わせた土地利用調整手法を導入している茨城県桜川市を対象として、同手法の実態と活用可能性を検証するものである。桜川市は広域都市計画区域の末端に属し、市街化区域が5%、市街化調整区域が95%を占めていたが、地域の実情に沿った土地利用規制のため、線引きは維持しつつ地区計画を中心とした計画の見直しがなされた。地区計画の区域内では、集落環境保護の観点から工場の新規立地を原則制限しつつ、既存工業施設ストックの有効活用を図るため、所定の立地調整が調ったものについては、新規立地を許容している。立地調整の仕組みは、土地利用基本条例の手続規定に依存し、同条例に基づき立地調整協議を行うための指針として立地調整指針が策定されている。現段階の運用において大きな問題は生じておらず、地区計画制定前後の開発許可箇所の変遷を見ると導入後は区域内に開発が収まり、一定の開発誘因効果、地区計画のゾーニングの妥当性があることが分かった。よって、上記手法は他市町村でも、社会情勢の変化を背景とした従来は想定しえなかった新しい土地利用に対応する手法になりうると考えられる。