第12回東アジア地域ダム会議

中京圏とダム開発

 名古屋市を中心とする中京圏は、日本の三大都市圏の一つであり、中部地方・東海地方における行政・経済・文化の中枢を担っています。また中京圏は、昔から製造業を中心として栄えてきた地域であり、さまざまな分野の「モノづくり」の土壌があります。800年の歴史を有する岐阜県の刃物製造、1000年の歴史を持つ愛知県の陶器製造は、日本を代表する生産地となっています。現在では愛知県東部のトヨタ自動車や伊勢湾岸に広がる中京工業地帯など、日本有数の工業地域でもあります。
 このような中京圏の著しい発展は、ダム開発によって支えられてきました。その歴史は、木曽川水系、天竜川水系、大井川水系などの豊富な水量と急峻な地形を利用した発電ダム建設に始まります(1924年大井ダム、1956年丸山ダム、1958年佐久間ダムなど)。1960年代高度成長期になると、治水対策や都市用水・灌漑用水の確保を目的とした多目的ダムが数多く造られています。しかしダム開発が進む一方で、急峻な地形に起因してダムの堆砂問題が顕在化しています。美和ダム、小渋ダムで建設された土砂バイパスは、堆砂の抜本的な対策のパイオニア的事業です。今回の技術見学会では、丸山ダムを嵩上げする国内最大級のダム再生事業である「新丸山ダム」、土砂バイパストンネルを建設した「小渋ダム」の見学を予定しています。