第12回東アジア地域ダム会議

主催者挨拶

 2月27日に日本大ダム会議の会長に就任いたしました。前任同様よろしくお願いします。
改めて、今般、日本で東アジア地域ダム会議(EADC) シンポジウムを開催できる運びとなったことは日本大ダム会議にとって大きな喜びです。EADCは今回で12回を数えます。2004年中国・西安で第1回目を開催したのを皮切りに、次いで日 本・横浜、その後韓国・大田の順番で開催し、今回は4巡目の最後の開催となりました。この間の参加者数の合計はおよそ2500人余りにのぼり、論文数も600編以上に達し、20年間に亘り東アジア地域のダム・貯水池に係わる諸知見を共有してきました。
 一方で、この20年間において地球温暖化はさらに進み、自然災害を顕在化させ、世界各国で甚大な災害が発生し、降雨の局所化による豪雨がもたらす洪水被害とこれに平衡する少雨による干ばつ被害が世界各国で報告されています。かかる状況に、脱炭素化による気温上昇の制御といった根本的対策および降雨表層水流出の平準化による対処療法的対策が必要であり、いずれもダム・貯水池が果たす役割は非常に大きなものがあります。
 このような背景の下、今回のEADCシンポジウムテーマは「次世代に向けたダムと貯水池の持続可能な開発・管理」としました。また、サブテーマに次の5つを掲げ、論文を募集しました。

  1. 気候変動下における貯水池・土砂管理(Management of Reservoirs and Sediment in the era of Climate Change)
  2. ダムの安全評価と調査(Dam Safety Assessment and Surveillance)
  3. ダムの建設・維持管理における新技術とDX(New Technologies and Digital Transformation of Construction and Management for Dams)
  4. ダムと貯水池の環境と生物多様性(Environment and Biodiversity of Dams and Reservoirs)
  5. ダムによる再生可能エネルギーの推進(Promoting Renewable Energy with Dams) 
 応募いただいた論文をもとに、12thEADC実行委員会で内容を評価し、12か国56編の論文が採択されました。シンポジウムは2日間開催し、採択論文発表のほか、EADC3か国からはダム・貯水池に係わる最近の話題提供が予定されています。また、基調講演を元国際大ダム会議総裁のシュライス教授(スイス工科大学名誉教授)にお願いする他、特別講演として国連の活動について廣木教授(政策研究大学院大学)にお願いしています。
 さらに、テクニカルツアーでは国土交通省中部地方整備局の全面的支援のもと、2日間の日程で建設中の新丸山ダムと既設の小渋ダムを見学します。新丸山ダムでは洪水制御と発電の強化のためのダムの嵩上げ工事の現場を見学し、小渋ダムでは、貯水池の堆砂対策のための土砂バイパストンネルの運用状況を見学します。
 また、今回は極力、環境配慮型の会議運営に努めて参りたいと考えています。ご不便をおかけすることがあろうかと思いますが、何卒ご理解いただきたいと思います。
 皆様のご参加を新緑の地、名古屋でお持ちしております。
日本大ダム会議会長
平井 秀輝